経済理論で懲悪するスカッとする漫画
――怒りについてもおうかがいしたかったんです。甲斐谷先生の作品を読んでいると、何か大きな対象に対する怒りを感じる場面が多いのですが、やはり怒りというものが作品を作る際の大きな原動力になっていたりするのでしょうか。
昔はそうでしたが、今はそんなに怒っていないです(笑)。『ONE OUTS』なんかは、「このままじゃ本当にプロ野球がダメになる!」という怒りから描いた記憶があるんですけど。
――実際、その後、球団の統廃合も進みました。
描いている時はめちゃくちゃ怒っていたと思うんですけど、何をそんなに怒っていたのか、もはや思い出せない。人間ってどうしても丸くなっちゃうのでね。夏原さんはちゃんと怒っていますけど。
――『カモネギ』には、長く続く不況やコロナによる困窮に便乗して、社会的にも経済的にも弱い立場の人を食い物にするヤツらが次々に登場します。そういう人達をどのように見ていらっしゃるのでしょう?
この年になって、普段から怒りを沸々させることが無くなってきていましたが、夏原さんと話をしていると、つられて怒りが湧いてきます。そういう意味でも有難い存在ですね。今は夏原さんに怒らせてもらっている感じです。
――弱者に付け込むヤツらが、それを上回る加茂教授の経済理論でいっぱい食らわされる過程は胸がすく思いです。1巻の最終ページ、学長の鵡川のセリフに「(加茂教授には)もっと大きな敵と戦ってもらわなければならない」とあります。言える範囲で「大きな敵」についてお聞かせください。
そこは、夏原さんが色々思っているっぽいですけど、僕もよく分かっていないんです。この先どうなるか、僕も夏原劇場を楽しませてもらっている感じです。
――では最後に、本作への意気込みと読者への一言をお願いします。
この企画を立てる時、コミックスを手に取ってくれた人が楽しくなったり、役に立ったと思えるような作品をコンセプトにしようと決めました。そうなるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします!
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