スティーブ・ジョブズが提示した最高の生き方
アメリカではいま、「BOBOS(ボボズ)」(ブルジョアBourgeoisとボヘミアンBohemiansを組み合わせた造語だ)と呼ばれる新上流階級が台頭しつつある。
典型的なBOBOSのカップルはどちらも高学歴で、東部(ニューヨーク、ボストン)や西海岸(ロサンゼルス、サンフランシスコ)の都市かその郊外に住み、経済的に恵まれているもののドナルド・トランプのようなこてこての“大富豪”を軽蔑し、最先端のハイテク技術に囲まれながらも自然で素朴なものを愛している。
そんなBOBOSは大ジョッキのビールよりワインを好み、アメリカンフットボールのテレビ観戦より美術展やコンサートに行き、休暇はラスベガスでギャンブルするのではなくロッキー山脈をハイキングするひとたちでもある。
その多くは弁護士やコンサルタントなどの専門職か、独立したプロジェクトを任されたクリエイティブクラスで、かつては会社勤めが多かったが、いまではフリーエージェント化が急速に進んでいる。
「ボヘミアン」というのは、1960年代のヒッピーカルチャーの影響を受けていることを指し、ブルジョア化したヒッピーであるBOBOSにとって最高の生き方はアップルを創業したスティーブ・ジョブズだ。ジョブズはもともとインドの精神世界(スピリチュアル)に強く魅かれていて、大学を中退してインドを一人旅する費用を工面するためにゲーム会社で働きはじめた。
大富豪になってからも禅に傾倒するベジタリアンで、どんなときも黒のタートルネックにリーバイスのジーンズ、ニューバランスのスニーカーという格好だった(ファッションを気にするのは時間のムダだと考えていた)。