本当に日本の若者は内向きになったのか!?
「日本の若者は内向きになった」といわれる。海外の大学への留学生数も、いまでは中国や韓国に大きく水を開けられているという。しかし私は、この手の「若者批判」をあまり信用していない。
ひとつは、「最近の若者はリスクをとらない」と上から目線で語る人自身が、大きなリスクをとっているようには見えないことだ。右肩上がりの高度成長の時代にたいしたリスクもとらずに成功した人物(その多くが元大学教授や大企業の元経営者で、いまは悠々自適の年金生活を送っていたりする)が、パイが縮小する困難な時代のなかで、上の世代が残したツケを払いながら生き方を模索する若者たちに説教するというのは、控えめにいってもあまり見栄えのいいものではない。
もうひとつは、かつての「若者」が海外の一流大学に行けたのは、企業や行政がその費用を出してくれたからだ。私にはハーバード大学やMIT(マサチューセッツ工科大学)、コロンビア大学などの大学院を出た知人が何人かいるが、彼らのなかで自費で留学した者は一人もいない。
だとすれば、日本の若者が内向きになった責任は、業績が悪化した企業や予算を削られた行政が、留学の費用を出さなくなったことにあるのではないか。バブル期のように大盤振る舞いすれば、いまの「内向き」の若者たちも喜んで海外の難関大学を目指すようになるだろう。
しかし、私が「内向き」論を疑う理由は別にある。