「握手会の経験は…活きてます」アイドルから酒屋に転身した元NMB48高野祐衣の覚悟_2

悩んだアイドル引退後のセカンドキャリア

――好きなもの・ことを仕事にすべきかどうかは誰もが悩むテーマ。どういう経緯で日本酒を仕事にしようと決めたんですか?

NMB48をやめたとき、私は22歳でグループ最年長でした。大卒ならば社会人1年目の歳ですが、アイドルの世界では「けっこう年齢いってるよね」という空気が漂っていましたし、私自身もピークを過ぎたような感覚がありました。

世間的にはめちゃくちゃ若いはずなんですけどね(笑)。アイドル以外に何もやってこなくて、大学も行っていないし、抜きんでた才能があるわけでもない。このままタレント活動を続けていくにしても、元NMBの肩書きがいつまでも使えるほど甘い世界ではない。だから、けっこう悩みましたね。何かひとつ、これ!とのめり込めるものを見つけたかった。

学生時代はバドミントンをやっていて、仕事を始めてからも一時期、ボルダリングジムに通っていたこともあったので、何かしら体を動かすことを仕事にしようかと考えたりもしました。でも、仕事にするなら本当に心の底から好きなことじゃないと続かないと思って。

――お酒は本当に好きだったんですね。

2018年に番組の企画で唎酒師(ききざけし)の資格を取得しました。そのとき、さらに自分で知識を深めていきたいと思って「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」にも挑戦しました。日本酒のソムリエともいえる資格で、暗記することも多くて。あんなに一生懸命に勉強したのは高校生以来でしたね。

2020年にその資格に合格して少し自信がついてきました。気がつけば、これまで飲んできた日本酒の味わいを記録したノートも4冊以上に。そんなタイミングで、去年、新潟の阿部酒造さんとコラボした日本酒をつくらせてもらったのですが、その際に酒蔵の方からいろんなお話を聞いたら楽しくて、本当に日本酒が好きだなと実感しました。それで仕事にしよう、日本酒業界に飛び込んでみよう、と決めました。

「握手会の経験は…活きてます」アイドルから酒屋に転身した元NMB48高野祐衣の覚悟_3