Go Goスターリン ザ・スターリン 1983年
作詞:遠藤みちろう
作曲:晋太郎

ザ・スターリンのサードシングル。中期スターリンの曲は短いフレーズを叩きつけるように繰り返し、“あとは自分で考えてくれ”と突き放すような歌詞が多いが、この曲はその典型で「誰だ ママ パパ 共産党 お父さん 嘘つき みんな 貧乏 被告 裏切り者」という10語のみで構成されている。カラオケで歌うとその場の全員を間違いなくギョッとさせられる。

全曲取扱注意! コンプラ疲れのあなたに贈る、NG当確「顰蹙ソング」ベスト20_8

CRASH THE POSE GAUZE 1986年
作詞:GAUZE
作曲:GAUZE

セカンドアルバムに収録。ハードコアパンクバンドの曲は、世間一般では非常識と思われるような歌詞ばかりなので、挙げていたらキリがない。そこでシーンの先頭を走り続けるガーゼのこの曲を代表としてご紹介したい。ハードコアを聴き慣れた人でなければ、歌詞はまず聞き取れないと思うが、過激な言葉でポーズだけのベジタリアンを攻撃する内容。

オールナイトロング 人生 1986年
作詞:石野卓球
作曲:石野卓球

現・電気グルーヴの石野卓球が高校生の時に宅録したファーストソノシートの一曲。ただただ、「金玉が右に寄っちゃった」と繰り返すあまりにお馬鹿な内容で、それほど顰蹙な内容でもないが、タイミングによってはムードをぶち壊しにする破壊力を持つ。いくら懐かしいからといって、僕のようないい歳をしたオヤジが聴いたり口ずさんだりするのも痛い。

おしり ローザ・ルクセンブルグ 1985年
作詞:久富隆司
作曲:玉城宏志/永井利充/三原重夫

のちにボ・ガンボスで活動するどんと(久富隆司)が80年代中頃に組んでいたバンド、ローザ・ルクセンブルグ。ヒカシューの巻上公一プロデュースによるオムニバスアルバム『都に雨の降るごとく』で、1985年に発表した最初期の曲だ。同性愛少年の恋模様を歌った内容だが、「あとでヒリヒリ味噌がベチョベチョ」などと表現がエグいほど生々しく、一定の覚悟がなければ、聴くのも歌うのも注意が必要。


夕方のピアノ 神聖かまってちゃん 2010年
作詞:の子
作曲:の子

美しいピアノの旋律に乗せ「死ねよ 佐藤」の絶叫が繰り返される、トラウマ必至のファーストシングル曲。佐藤というのはボーカル・の子のクラスメイトらしい。ジャケ写は無数の切り傷があるの子の右手。佐藤さんがいるカラオケ会でぜひ歌ってほしい一曲。僕も佐藤だが、人に歌われると辛くなるので、先手を打ってみずから歌うことにしている。

全曲取扱注意! コンプラ疲れのあなたに贈る、NG当確「顰蹙ソング」ベスト20_9

SKOOL KILL 銀杏BOYZ 2005年
作詞:峯田和伸
作曲:峯田和伸

銀杏BOYZの代表曲のひとつ。同バンドのギター&ボーカルである峯田はライブで演奏する前、「会場に来ているかもしれない酒鬼薔薇くんに捧げます」と発言したことがある。思春期のもてない男子のモヤモヤを歌っているのだが、「これ、俺のことを歌っている」と思う人もいるかも。「学校で君のジャージが盗まれた事件があったろ 誰にも言えないけど本当は犯人は僕さ」……ギク!(筆者はやっておりません)

新旧女性シンガーによる、聴く者の気持ちをざわつかせる曲たち

玉姫様 戸川純 1984年
作詞:戸川純
作曲:細野晴臣

歌詞は婉曲表現ながら、女性の生理を題材にしていて、男性が歌っても女性が歌っても、間違いなく周囲をザワザワさせるような内容。¥ENレーベルより発売された戸川のファーストソロアルバムに収録されている。細野晴臣の作曲だけに、完成度が高い名曲である。YouTubeで検索すると、夜のヒットスタジオで歌っている動画が出てくるので必見。


三番目の女 工藤ちゃん 2018年
作詞:工藤ちゃん
作曲:工藤ちゃん

インディーズシーンで旺盛な活動をおこなうシンガーソングライター・工藤ちゃんが、ギターをかきむしるように奏でながら“三番目の、入れるだけの女でいい”と絶叫する曲。お父さん目線で見ている僕からすると「ダメダメそんなの!」と言いたくなるが、彼女は最近、結婚を発表した。「よかったよかった」と胸をなで下ろした、隠れファンです。


一気にご紹介してきた全20曲、いかがだっただろうか?

どれも僕の大好きな曲なのだが、どうか人格を疑わないでもらいたい。
かつて“不倫は文化だ”と言い放ったおじさんもいたが、それはそれで正しいし、不謹慎も非道徳もある意味、立派な文化だと思っている。
僕の場合は、実生活でそれを実行するほどタフな神経は持ち合わせていない小物なので、こうして人の作った曲を聴き、思考実験をして楽しんでいるにすぎないのだが。


文/佐藤誠二朗