前近代的な日本の会社の3つの特徴

日本の会社の特徴は、次の3つだ。

① 大卒の男性と、高卒の男性が課長になる割合は、40代半ばまではほとんど変わらない
② 大卒の女性は高卒の女性より早く課長になるが、最終的にはその割合はあまり変わらない
③高卒の男性は、大卒の女性よりも、はるかに高い割合で課長になる


これをどう理解すればいいのだろうか。

①高卒の男性でも、大卒の男性と同じように出世できるというのは、素晴らしいことに思える。日本の会社は学歴ではなく、社員一人ひとりの「能力」を見ているのだ。

②高卒の女性より大卒の女性のほうが出世が早い、というのも当然だろう。日本の会社では、新卒採用で女性を「総合職」と「一般職」に分けている。総合職は男性と平等に扱われる大卒エリートで、一般職は事務系の仕事だから高卒も多いだろう。それが同じ昇進では、いくらなんでも理不尽だ。

問題なのは、③大卒(総合職)の女性よりも、高卒の男性のほうがはるかに早く課長に昇進することだ。60歳時点では高卒男性の7割が課長以上になっているのに、大卒女性は2割強と半分にも満たない。

身分や性別のような生まれもった属性ではなく、学歴や資格、業績など個人の努力によって地位が決まる社会が「近代」だ。そして近代的な社会では、このようなことが起こるはずはないと山口氏はいう。だが、驚くべきことに、日本の会社はいまだに「前近代」にとどまったままなのだ。

「日本の会社は江戸時代」というのはショッキングだが、経営者はこれを真っ赤になって否定するだろう。「うちは近代的な経営をしているのに“前近代”とはなにごとだ!」というわけだ。

そしてこの反論は、あながち間違いとはいえない。ある要素を調整すると男女の格差はなくなって、大卒の女性も男性社員と同じように出世している。その要素とは、「就業時間」だ。