「世の中の評価基準」だけでホメない
「資本主義や競争社会における価値観だけでホメないことも大事」だと澤田さんは言う。たとえば子どもを持つ親ならば、「テストでいい点を取った」「スポーツで活躍した」などの目に見えやすい結果や評価軸で、我が子をホメることはやはりあるだろう。
もちろん、本人が努力して成果を上げたことを認めてホメること自体はいいことだ。しかし、その基準ばかりではかってしまうと、本当の意味で相手の魅力を掘り出していくことはできないと澤田さんは考える。
「たとえば、僕の息子の特技のひとつには『高速で何十回も回る』というものがあって、しょっちゅう、家のなかでフィギュアスケーターのようにクルクル回転しています。
別に、クルクル高速で回転する能力自体が、社会で役立つわけではないですよね。けれど、回っているときの彼は本当に楽しそうで目がキラキラしていて、すごく『この世界と調和している感じ』がある。なので、その瞬間を見たら逃さずホメるようにしています。
親であれば、自分の子どもを誰かと比べてしまうこともときにはあるかもしれません。けれど、目の前の我が子がイキイキ・キラキラしているタイミングがあったら見逃さずホメる、否定しない。
職場でも同じで、『仕事が早い・効率的』などの評価軸で相手をホメがちかもしれませんが、たとえば、仕事とは無関係の『この人と話していると雑談が尽きなくて楽しい』というホメ要素も、相手にはあったりする。
『人の魅力は資本主義の枠だけには収められない』ことを意識し、『世の中の役に立つ・社会で評価に値する能力かどうか』という枠の外に出て相手を見ることも、ホメるときにとても大切だと思っています」
「現代社会でよしとされる価値観や評価基準は、たまたま今の時代に重要視されているだけで、曖昧で流動的なもの」だと澤田さんは見ている。一般的なものさしだけに振り回されない姿勢を持っておきたい。