今大会のトレンドになる「セット起用」が鍵となる

過去のW杯には必ず大会ごとにトレンドがあった。

ロシアW杯を思い返すと、史上初めて「VAR(ビデオアシスタントレフェリー)」が導入されたため、細かいファウルが多く、PKも増えた。さらに、守備側がファウルを恐れるあまりマンツーマンで守りづらく、イングランドなどが工夫したCKで得点を量産するなど、セットプレーに特徴が出た大会だった。ルールの変更は間違いなく、戦術や戦略に大きな影響を与える。

その意味で今回注目したいのは「交代選手の数が3人から5人に増える」ということだ。コロナ禍で始まった暫定措置だが、今後は正式なルールとして導入されることが濃厚になってきた。

これは筆者の予想になるが、今回のW杯は“セット起用”がトレンドになるのではないか。

5人交代できるということは、フィールド選手の半分を入れ替えられるということ。フットサルでは、選手をファーストセット、セカンドセットの組み合わせに分け、それぞれの連系をベースとした2チーム分で、1試合を戦うことがセオリーとなる。サッカーもこれに近い戦略が用いられるかもしれない。

たとえば日本の場合、Jリーグで常勝を築きあげている川崎フロンターレ出身選手の連携を強みに、“セット起用”した攻撃布陣をファーストセット。もう一組は、強度が高いカウンターが得意な選手3~4人に入れ替え、これをセカンドセットとする。まるで前半、後半で別のチームが戦うかのように。

代表はトレーニング機会が少ないため、連系を育てるのが難しいと言われているが、所属クラブで一緒にプレーしてきた選手を“セット起用”してしまえば、連系の問題はある程度解決できる。このあたりは森保ジャパンにうまく生かしてほしい、今大会のポイントだ。

最後に、3戦目のスペインについてはほぼ触れなかったが、大会前からスペイン戦をアレコレ言っても、その大半は徒労に終わるので、ここでは触れない。

3戦目の展望は、1戦目と2戦目の結果に大きく左右される。仮にスペインが2連勝で突破を決め、日本戦にサブ組を並べてくるのなら、ハイプレス等の奇襲が有効だろう。だが、スペインが勝ち点を取り切れず、緊張感を伴って3戦目に挑む場合は、日本も慎重に戦ったほうがいい。そこは状況次第なので、今からゲームプランをアレコレ言っても徒労でしかない。

とにもかくにも、重要なのは1戦目のドイツ戦と、2戦目に向けた準備だ。

かなり悲観的なグループに入ったことは確かだが、昨今の日本人選手の成長を見れば、準備次第ではドイツを落とすことも不可能ではない。

写真/アフロ