強豪ドイツに一矢報いるために
仮にドイツに油断があれば、日本がハイプレスで奇襲することは有効だが、今大会のドイツに奇襲が有効とは思えない。彼らは挑戦者だ。うかつに前がかりになれば、ドイツが伝統的に得意とするダイレクトカウンターの矢を受け、大量失点でジ・エンドもあり得る。
ここは丁寧に、相手の長所に対応するのが上策。そのためには堅固な守備力を誇る[5-3-2]の布陣を推したい。
【DF】ドイツの攻撃は、世界的プレイヤーのレロイ・サネら両ウイングが中央へ入り、中央の厚みとサイドの幅を使うことが特徴的だ。通常通りに4バックで対応すると、中と外の連動で振り回されやすい。そこで、予め中央をCB3人+MF3人で相手の攻撃に対応し、サイドは1人ずつ対応する。相手がねらうスペースに、あらかじめ人を立たせることで、守備の混乱を防ぐことができる。
ただ、問題はこの自陣で受け止める守備から、どうやって攻撃に転じるかだ。
【FW】鍵は、2トップ。序列的には大迫勇也と南野拓実ではあるが、ドイツは両サイドバックが高い位置を取り、2バック気味になることをふまえれば、サイドの裏へ流れる飛び出しに長けた、古橋亨梧がキーポイントになる。
大迫が相手CBににらみを効かせて、古橋がサイドの裏へ飛び出す。ロングカウンターの形はある程度見えそうだ。あるいはドイツが対戦の相性上で苦手とするスペインの流れを組む、久保建英も面白いかもしれない。
【MF】2トップで起点ができれば、中盤は走力のある原口元気の起用を推したい。大迫、古橋に続く3人目として、原口が前線へスプリントすれば、ロングカウンターが成立する。原口は守備強度も高いので[5-3-2]の布陣との相性は抜群だ。
[5-3-2]の難点としては、守備的なプランなのでウイングの三笘薫のドリブル突破を生かせなくなることが挙げられるが、三笘はジョーカー起用として温存する。
ドイツ戦で引き分け以上の結果を残せば、次は2戦目。ここは勝ち点3を計算しなければならないので、日本は本来の攻撃的な[4-3-3]に戻せばいい。このように1戦目と2戦目は、まったく異なるゲームプランを立てることが、有効になるだろう。