初戦のドイツ戦がすべてを左右する
実際、強豪国が一泡吹かされてグループステージ敗退するサプライズは、これまでの大会ごとに起きてきた。
2006年ドイツW杯で優勝したイタリアは、王者として臨んだ2010年南アフリカ大会で1勝もできず、まさかのグループステージ敗退に終わった。同大会で優勝したスペインは、次の2014年ブラジル大会でグループステージ敗退。さらに同大会で優勝したドイツも、2018年ロシア大会でグループステージ敗退となった。
前回王者がグループステージで姿を消すことは、もはやサプライズとは呼べない定番だ。油断が大敵であることを示す、W杯の歴史とも言える。ならば、相手が強豪国だからこそ、日本はつけこむ隙があるのではないか?
……と考えてはみたが、実は今回はそれも難しい。
特にドイツは、ロシアW杯で苦汁をなめたばかりだ。今回は傷つけられたプライドを取り戻す戦いであり、第1戦からモチベーションは高いはず。初戦でメキシコに黒星を喫した前回大会のようなアクシデントは期待できない。一方のスペインも近年は国際大会の好成績から遠ざかっており、油断するような要素はない。
ともすれば前回王者のフランスのほうが、つけこむ隙はあったのかもしれないが、今のドイツとスペインに油断を期待するのは難しそうだ。外部要因に期待せず、堂々と上回るしかない。己を磨き、相手を研究し、最適な戦略を立てる。それ以外に方法はない。特に重要なのはドイツ戦だ。
初戦が大事である理由は、今更言うまでもないので省略する。どう戦えば、ドイツを倒す可能性が見えてくるのか。
昨年に就任した元バイエルン・ミュンヘン監督、ハンジ・フリックが指揮するドイツは、一言で言えば「モダンなサッカー」をする。ポゼッションを握ってハイラインで相手を押し込み、奪われたボールは敵陣で即時奪回。中央に厚みを増やしたワンタッチのコンビネーションが多く、攻撃にダイナミズムがある。Jリーグでいえば、横浜F・マリノスのサッカーに近い。