森保ジャパンの人気がない理由は…

「現役時代の自分と同じ選手など要らないし、通用しない。アップデートされた選手が必要。監督も同じで、常に成長しなければならない」

世界最高峰の名将の一人であるジョゼップ・グアルディオラは、指導者1年目にFCバルセロナのセカンドチームを率いていた時代、すでにサッカーの真理に辿り着いていた。

当時、同チームに「グアルディオラ二世」と言われる選手が台頭し、プレースタイルは瓜二つだった。しかし、グアルディオラ本人は現役時代の自分と同じであることに難色を示し、サッカーを革新させられる選手や戦い方を求めていた。

伝統は大事にしたが、過去の成功例に囚われることを嫌った。生き馬の目を抜くサッカー界で生き残るには、常に革新が求められる。

翻って、日本代表を率いる森保一監督が不人気な理由は、チームを革新させる輝かしさを感じられないからだろう。

森保監督自身のJリーグでの経歴は、日本人指導者として文句はない。ロシアW杯後、初めて代表監督に就任した時のチームは、浪漫を感じさせた。中島翔哉、南野拓実など新鋭選手の良さを引き出し、始まりの予感があった。しかし時が経つにつれ、力が落ちた主力選手にすがりつく。久保建英や鎌田大地が異国で新境地を開いているのと対照的だろう。周りはその様子を見て辟易とし、革新を叫ぶのだ。

監督は立ち止まってはならない。

レアル・マドリードをスペイン王者、欧州王者に復権させたカルロ・アンチェロッティ監督は、組織を新たにする名人と言える。世代交代が急務と言われる中、最小限の摩擦で巧妙にチームを作り変えた。

昨シーズンは就任1年目で主将のセルヒオ・ラモスを外し、ダビド・アラバを入れる一方、他のベテランは重用し、最小限の変化でタイトルを獲得した。今シーズンはマルセロ、イスコ、ガレス・ベイルなを放出し、守備の重鎮・カゼミーロも大金で売却、若いエドゥアルド・カマヴィンガ、オーレリアン・チュアメニが生きるシステムをすでに用意していた。