デメリットがあるからやめるのではなく…

――「あだ名禁止」と大人がルールを決めることで、子どもが、あだ名を通して相手の気持ちを慮る機会を失ってしまうという懸念があります。

たしかに、あだ名がなくなれば、あだ名の分だけ相手の気持ちを考えるという機会は減ります。だからといって、子どもたちが生活していて、あだ名の占める割合が元々そんなに多かったかといったら、多くもないです。

「相手のことを慮る機会」は、あだ名に頼らなくても他にいくらでもあるので、今指摘があった、世間で言われているような懸念は、ボクは感じていません。

――最後に、大人が「あだ名」とどう向き合っていくべきと考えているか教えてください。

保護者と担任が連携できれば望ましいです。学校では呼ばれてニコニコしているあだ名でも、本当は嫌で、家ではダメージが出ている場合もあるわけですよね。そうした時は担任の先生に知らせてくれれば、「そうなの、じゃあやめようか」という話にできます。家と学校の双方向からケアができるわけです。

あだ名は使いようによっては非常に有益ですが、危険な部分もあるということは、やっぱり理解しないといけないと思います。その上で、「駄目だからやめる」ではなく、「こういうリスクがあるんだ」ということを先生たちが学んで、そのリスクマネジメントをしっかりとやっていくべきだと考えています。

取材・文/武藤弘樹