研究をきっかけに、同じソフトを800本収集
――SDヒーロー総決戦だけでも800本以上のソフトを持っているとのことですが……
最初はRTAの研究用として集め始めたんです。ファミコン用のソフトなどには初期ロム、後期ロムといった違いがあります。今でこそ、ゲームは発売後にもネットワークを通じてバグを修正したり、機能を追加したり、アップデートが可能ですよね?
しかし、売り切りが一般的だった昔は、致命的なバグを見つけても対応が難しかった。仕方なく、後から発売する分だけを修正することが多かったんです。
――発売後、しばらく経ってから製造された分は不具合が直っているということですか?
そうです。それが初期ロムと後期ロムの違いです。RTA業界では初期ロムと後期ロムの違いで差が生まれることも珍しくないんですね。修正される前の、初期ロムにしかないバグを使ったほうが速い。あるいは、バグが修正された後期ロムのほうが進行で有利という風に。ちなみに、バグを直した影響で、後期ロムにだけ違うバグが発生するというケースもあります。
――なるほど。それなら、初期ロムと後期ロムを1本ずつ用意するだけでも十分な気がしますが……
そうかもしれません。ですが、ソフトによってプレイしたときの感触が違って思えるんです。数値やデータのうえでは厳密には存在しない差なのかもしれませんが、自分がRTAをしやすいソフト、しづらいソフトというのが確かにあって。それを突き詰めているうちに、いつの間にか800本に増えていました。後半はほとんどコレクターとしての血が騒いだだけなんですけど。
―――ここまで集めるのは大変だったのではないでしょうか?
集め始めてから、だいたい6年くらい経ちますね。そこまで単価は高くないゲームなのですが、自分がたくさん注文するせいで、一時期中古相場を押し上げてしまったこともあります。