昼は大手外資系勤務の会社員。夜はオンリーワンポケモンRTA走者

RTA(リアル・タイム・アタック)とはゲームの遊び方の一種で、スタートからクリアまでに実時間を計測し、その早さを競う。RTAが行われるゲームは多種多様で、同じタイトルでも様々なルールが存在する。

ずのう氏が行う「ポケットモンスター赤・緑 図鑑完成RTA」もそのひとつ。現在でも幅広い層に人気を誇る「ポケットモンスターシリーズ」の初代にあたる作品、『ポケットモンスター赤』『ポケットモンスター緑』を同時にプレイし、ポケモン図鑑の完成を目指す。

同タイトルは1996年にゲームボーイ向けに発売された。プレイヤーはポケモントレーナーとなり、ゲーム中に出てくるすべてのポケモンと出会い、捕まえ、ポケモン図鑑に登録することを一つの目標とする。

赤と緑では出現するポケモンに若干の差異があり、ポケモン図鑑を完成させるにはソフト間での通信交換が必須となる。本来であれば2人で協力して完走を目指すのが一般的だが、ずのう氏は1人、RTAに挑む。

――ずのうさんが挑戦しているRTAについて教えてください

ずのうさん(以下、同)
ポケットモンスター赤・緑(以下、ポケモン赤緑)を同時にプレイして、ポケモン図鑑の最速完成を目指します。赤にしか出現しないポケモンや、逆に緑にしか出現しないポケモンがいるため、図鑑をコンプリートするには両ソフト間での通信交換が必須です。

個別に攻略しながら、両方のゲームの進行状態を総合的に管理し、特定のタイミングで通信交換を行うという、マルチタスクの求められるRTAといえますね。

――マルチタスクと簡単におっしゃいますが……聞くだけで大変そうです。

あとで詳しく説明しますが、元々2人でやっていたRTAを1人で挑戦してみることになって。1人二役をこなすためにコントローラーを改造するなど、いろいろ工夫しています。

色々な工夫を凝らしたポケモンRTAの実走環境。なんらかの「司令室」といった雰囲気を醸し出しており、カッコイイ。
色々な工夫を凝らしたポケモンRTAの実走環境。なんらかの「司令室」といった雰囲気を醸し出しており、カッコイイ。
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――コントローラーの改造まで。普段から機械に触れるようなお仕事を?

いえ、全然。普段は外資系企業のITコンサルを務めています。むしろ、学生時代に入っていたジャグリングサークルのほうが、RTAとの関わりは深いと思います。

ただ、ジャグリングについては子どもが生まれてからなかなか練習に参加できなくなってしまい。やはり、育児をしながらだと自分の時間は夜が中心になりますよね。その点、RTAは時間にある程度の自由が利くので、本気で取り組む趣味としてはうってつけといえました。

昼は大手外資系のITコンサル。夜はポケモンRTA走者という2つの顔を持つずのう氏。家族4人の生活を支える大黒柱でもある。パートナーは「ゲームのことはよくわからないけど、とても頑張っているのはわかる」と、ずのう氏を支えている。
昼は大手外資系のITコンサル。夜はポケモンRTA走者という2つの顔を持つずのう氏。家族4人の生活を支える大黒柱でもある。パートナーは「ゲームのことはよくわからないけど、とても頑張っているのはわかる」と、ずのう氏を支えている。

――2台同時操作。具体的にはどのように行っているのでしょうか?

ざっくりいうと、両手にコントローラーを持って、それぞれ操作します。足下ではフットペダルを用いて乱数を管理しています。また、プレイ中はポケモン図鑑を開くとタイムロスになりますが、一方で現在どのポケモンを捕獲済みか、進捗管理も行わなくてはいけません。私の場合は、専用の管理ツールをつくり、音声入力で対処しています。

両手にコントローラー、画面は全部で4つ。さらには足下でもペダル操作を行う。RTA in Japan(RTAの大規模イベント)では1人で解説までこなした。
両手にコントローラー、画面は全部で4つ。さらには足下でもペダル操作を行う。RTA in Japan(RTAの大規模イベント)では1人で解説までこなした。