子供たちの“なりたい職業”になってほしい

――「まだ全チームの女性取締役が揃っていないのに、(ミーティングを)行う理由がわからない」という反対意見も出たそうですね。理念推進を形式的に進めていく中ではそうした反発もありますが、どのように受け止めていますか?

多様性とは、異なる意見が多く出るということです。クラブのリーグ参入条件に女性登用の要件を設けたのは、『女性の声をもっと現場に反映させて欲しい』という狙いからです。日本はクォータ制を進めていかないと、ずっと変わらないままですよ。

10年、20年前に同じことを言ったら企業も『何を言っているんだ?』という状況でしたが、時代は変わりつつあります。サッカー界はそうした面ではまだ途上なので、刺激が必要だと思いますし、新しいことをやる上で必ず反発はあるものだと思うので、いろいろな意見を取り入れながらも貫いていくつもりです」

「ジェンダー平等」と「競技力向上」の両立は可能か? WEリーグ岡島チェアに聞く_d
「2021-22 Yogibo WEリーグ」において、初代王者となったINAC神戸レオネッサ

――チェアはアメリカと行き来しながら試合の視察もされていますが、直接選手からの声を聞く機会もあるのでしょうか。

「WE MEETING」と言って、オンラインで全クラブの選手たちと直接話す機会を作っています。『リーグが終わったら意見を聞かせてね』と伝えているので、1年目が終わった段階で、検証として選手のいろいろな声を聞きたいなと思っています。

――最後に改めて伺います。チェアは、WEリーグの未来図をどのように描いておられますか?

子どもたちの夢になるリーグにしたいですね。なりたい職業のトップ10にWEリーガーが入るようになって欲しいし、『プロアスリートになりたい!』という女の子たちが増えるような社会を作ることが目標です。

リーグがプロになった成果が結果として現れるのには4、5年はかかると思うので、なでしこジャパンにはぜひ、2024年のパリ五輪で世界一を目指して欲しいと思っています。

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試合数、集客、日程、そして、理念推進と競技力向上の両立――。それらの課題をクリアし、リーグが新たなスタートラインに立つまでに、与えられた時間は多くはない。来季の開幕は10月の予定だ。

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写真/AFLO