「産後うつ」や「妊婦の自殺」といったテーマでトーク番組

この特番の最初のテーマは「産後うつ」だった。ホルモンバランスの乱れや育児ストレスにより、気分の落ち込みやイライラ、さらには「死にたい」「消えたい」といった感情にまで至ることもあり、母親のおよそ10人に1人が経験するという。

切迫早産を経て、育児と撮影中断による詫び状を書き続ける生活に追われた木村多江、実の母親に「母乳が足りひんのちゃう?」と言われた高橋ユウ、双子の育児中に「双子はいっぺんに終わって楽よね」と無神経な言葉を投げかけられた大山加奈。ゲストたちの語る体験はどれも生々しかった。

情緒不安定で突然涙が出たり、夫に対して強い苛立ちを覚えたりする体験談も明かされた。男性ゲストとして出演した長谷川忍(シソンヌ)は、自身の妻が出産から3年後に同様の症状を見せたと話したが、精神科医の木村好珠は、数年後であればホルモンバランスとは別の要因が大きい可能性を指摘する。

これに対し上田は「ちょっと引っ込んでてもらえると……」とひと笑いを入れつつ、トークがうまくいかなかったと反省する長谷川をフォローもする。深刻なテーマの中でも空気を張り詰めさせすぎず、しかし軽くしすぎない。上田の司会術が最も光っていたのは、こういう瞬間だった。

MCの上田晋也 (C)産経新聞社
MCの上田晋也 (C)産経新聞社

後半では、周囲に4人以上のサポート役がいると産後うつの症状が軽くなるという研究結果も紹介された。子育てに直接参加しなくても相談相手になる存在の大切さ、家事や育児に加え、母親のメンタルケアも担う「産後ドゥーラ」という専門職の存在など、壮絶な体験談を並べるだけで終わらず、助けとなる手段まで提示していた点も重要だった。

やや煽り気味なテロップや効果音の付け方は、たしかに一般的なトークバラエティと同じだ。しかし出演者たちは当事者の声を軽視せず、上田も笑いのために話を矮小化しない。

こうして“いつものテレビの見やすさ”をあえて維持しているからこそ、普段こうしたテーマに関心のない視聴者にも届いたのではないか。

そして最後に取り上げられたのは、妊産婦の死亡原因として最も多いのが自殺であるという事実だった。出産=幸せというイメージがあまりにも強いがゆえに、辛さを気軽に吐き出せない風潮が最悪のケースを生む。衝撃的な事実に、スタジオの空気は一変した。