市場というものは、性能だけでは決まらない

かつて日本は、「技術立国」と本気で信じていた時代があった。NEC、富士通、東芝、シャープ。日本の電機メーカーは世界最強だと言われていた。実際、性能や品質だけを見れば、世界最高峰だったのだろう。しかし、その日本はWindows95とインターネットの波に呑み込まれ、一気に世界標準から脱落した。

なぜか。日本は「性能」で勝負していた。しかし米国は「標準」で勝負していたのである。
この構図は、かつてのソニーのベータマックスとVHSによるビデオテープ覇権争いにもよく似ている。

技術的にはベータのほうが優れていると言われた。しかし最後に勝ったのはVHSだった。録画時間、価格、レンタル網、映画会社、流通、普及台数。性能そのものではなく、生態系を握った側が勝ったのである。

市場というものは、性能だけでは決まらない。世界のルールを握った者が勝つ。もっと言えば、「世界の空気」を支配した者が勝つ。それが資本市場の本質だ。今回のAI競争も、まさに同じ構図になりつつある。

世界のAIを事実上支配している「トップ7」

日本では未だにAIを「便利な技術」として語る人が多い。しかし、米国と中国のトップ企業群は、AIを単なる技術ではなく、「文明インフラ」として扱い始めている。ここを理解しない限り、今回のAI相場の本質は見えてこない。

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現在、世界のAIを事実上支配しているのは、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、アップル、エヌビディア、オープンAIという「トップ7」である。

そして、その周辺を固める「トップ15」には、中国勢のテンセント、アリババ、ファーウェイ、バイドゥ、バイトダンス、SMIC、カンブリコン、ムーア・スレッズ、エンフレイムなどが入ってくる。

つまり、世界のAI覇権は、事実上、米国と中国の「トップ15」によって独占されているのである。ここに日本企業の名前はほとんど出てこない。これが現実だ。

しかも彼らは、もはや通常の企業ではない。現在、市場では彼らを「ハイパースケーラー」と呼ぶ。