「1回の追跡で15万円」築地市場で腰を痛めた青年が探偵になった日
東海大学卒業後は、ラジオやテレビのイベントに関わる制作会社で働いていたという阿部泰尚さん。当時は探偵に憧れがあったわけではなく、自分が探偵になるとはまったく想像していなかったという。
「僕は小さいころから探偵に憧れていたとかそういったことではなかったんですよね。流れでなったというか。大学卒業後は最初、制作会社で働いていました。その後は父が築地で魚市場の仲買人をやっていて声をかけられ、僕も築地の場外市場で働くようになったんです。
ただ、ヘルニアで腰を痛めてしまって。重いものが持てなくなったんです。でも、食っていかなきゃだしなあって思っていた時に、探偵の友人から声をかけられたのがきっかけでした。湾岸道路でとんでもないスピードを出す車を追いかけなきゃいけなくて、『追いかけられないか?』って依頼されたんです」(阿部さん、以下同)
阿部さんは過去に、ポケットバイク(ミニチュアサイズのオートバイ)のレーサーだった経験があり、バイク歴も長く運転技術に長けていた。そのため友人から“追っかけ”の技術を買われて、白羽の矢が立ったという。さらに制作会社での経験が活きた。カメラの技術も持ち合わせていたのだ。
「たしか不倫の調査だったと思います。いくら飛ばす車とはいえ、バイクは前に車がいても横から抜いていけますが、車はそうはいきません。つっかえながら走る車を追うのは簡単でした。バブルがはじけてしばらく経った頃でしたが、それでも今より全然景気がよくてその“一追い”で報酬は15万円でした。これ食っていけるじゃん! って。その友人に『これからも仕事回して』って言ったのが探偵業のスタートでした」













