極右と性差別
フランス極右は伝統的な性別役割や家族主義を重視し、女性を自律的な個人というよりも、国家や民族の再生産を担う存在として位置づけてきた。かつて、ジャン=マリー・ルペンが「女性が自分の身体は自分のものだと考えることは馬鹿げており、身体は自然と国家に属している」と述べたように、極右の世界観において女性の身体はしばしば国家的・共同体的な目的に従属させられる。
こうした価値観を象徴してきたのが、中絶への反対である。実際、中絶反対は戦後フランス極右における要石の一つであった。1975年に中絶が合法化されてから長い時間が経過したにもかかわらず、2024年にフランスで中絶の自由を憲法に明記するか否かが議会で問われた際、国民連合の議員のおよそ半数は反対または棄権に回った。
さらに、国民連合のジェンダー平等への抵抗は、中絶をめぐる問題に限らない。同党は2021年の欧州議会において、セクシュアル・ハラスメント対策に関する決議に反対したほか、公務員制度における女性の上級職・管理職へのアクセスを強化する法律にも反対した。
また、ジェンダー平等、性教育、避妊、中絶へのアクセス、女性の権利に関わる団体への予算削減も提案してきた。国民連合は、フェミニズム的な争点に対して一貫して消極的、あるいは敵対的な立場を維持しているのである。
しかし、ここで問題となるのは、こうした性差別的な立場が維持されているにもかかわらず、近年では女性有権者も国民連合に投票するようになっているということである。極右が女性の権利や主体性と緊張関係にある政治的立場をとり続けているにもかかわらず、かつて存在した極右ジェンダー・ギャップは縮小し続け、近年ではほとんど消失しつつある。この逆説的な状況をどのように理解すればよいのだろうか。
以下のグラフを見てみよう。これは、過去40年にわたる欧州議会選挙および国民議会選挙における、国民戦線/国民連合の男女別得票率を示したものである。国民連合の前身である国民戦線の時代には、同党に投票する有権者の男女比は、おおむね2対1で安定していた。
しかし、マリーヌ・ルペンが党首に就任した2011年頃からこのジェンダー・ギャップは縮小し、近年の選挙ではほとんど見られなくなっている。すなわち、かつて見られた「女性は極右に投票しにくい」という傾向は、もはや現在の女性による国民連合支持という現象を十分に説明できなくなっているのである。













