女優業7割、料理人3割の内訳
――専門学校時代から有名ホテルへの就職を目指し、厳しい競争の中で技術を磨いてきた川越さんですが、その過程ではいまの価値観につながる出来事もあったそうですね。
専門学校時代、1000人近い同級生が、有名ホテルの採用枠“5人”を巡り争っていました。私も必死で、その椅子をつかみにいったんです。
実際に5人の中には入れたんですけど、最終的に私だけ落ちました。理由は“女性だから”というもの。合格した他の4人は全員男性でした。
実力でつかんだはずの未来が、自分ではどうしようもない理由で閉ざされる。そのやるせなさを経験したからこそ、「誰かの価値基準だけで、自分の人生を決められたくない」、「もっと自分自身を大事にしなきゃいけない」と痛感したんです。
あの出来事は、間違いなく今の私の生き方に大きく影響しています。
――その後、実際に現場に入ってからも悩むことはありましたか。
某ホテルで下積みを続けて、社内でMVPをいただけるようになった頃、交通事故に遭ってしまったんです。
料理人にとって命でもある右手が、一時ほとんど動かなくなってしまって……。半年近く、現場で思うように働けない時期が続きました。ずっと料理一本で生きていくつもりだったので、その時はかなり苦しかったです。
ただ、今振り返ると、あの時間が自分の働き方を見直すきっかけにもなりました。
ちょうどその頃にセクシー女優のスカウトのお話もいただいて、「一つの仕事や場所に縛られずに働く生き方もあるのかもしれない」と考えるようになったんです。
その結果、料理人か、女優かのどちらかを選ぶのではなく、両方を本気で続ける今のスタイルになりました。
――両立は大変だと思いますが、現在はどのような生活スケジュールで働かれているのでしょうか。
いまは女優7割、シェフ3割くらいのバランスで活動しています。
料理の仕事がある日は、朝6〜7時くらいに出勤して、夕方16時頃まで厨房に立っています。
その後に引き継ぎをして、撮影やインタビューなど別の仕事に向かうことが多いですね。
――料理人と女優業、仕事ごとに線引きを意識する場面はありますか。
現場ごとに求められるものは全然違うので、意識的に切り替えるようにしています。
自分の中に“アバター”がいる感覚というか……「いまは“料理人のにこ”にログインする」みたいな感じです(笑)。
その明確な切り替えがあるからこそ、どちらの仕事にも本気で向き合えているのかなと思います。













