「こんなことで訴えていたら、言論を萎縮させることにつながりかねない」
問題となった投稿は、メルカリが公表していた女性社員のインタビュー記事に関連するもので、田端氏は自身のXでその社員について「こういうクソな無能を雇うの、株主からしたら、やめてほしいわ」などと投稿し、公然と侮辱した疑いが持たれている。
被害者は今年4月、侮辱罪にあたるとして麻布警察署に告訴状を提出し受理されていた。メルカリ側は「全て事実だ」と認め、今後も従業員を守るため法的措置を含め対応を行うとしている。
田端氏をめぐっては、メルカリ関連以外にも、企業の広報支援会社代表者と数人が被害届を提出し書類送検されている。
田端氏は今年9月、集英社オンラインのインタビュー取材に応じている。侮辱罪の構成要件は「正直ノーマークだった」と認めつつも、投稿は自身がメルカリ株を保有する「アクティビスト個人投資家」として、決算資料に基づき、社員が出すべき成果を出せていないという意味で「無能」と指摘したに過ぎないと主張した。
これは意見、論評の自由の範囲であり「ちょっと大げさなたとえかもしれないですけど、野球選手に『打てねえな。バカ!お前!無能の年俸泥棒!』って観客が言ったら侮辱罪なんですか?」と反論。刑事事件化は「こんなことで訴えていたら、言論を萎縮させることにつながりかねないと思う。株主が自由に物事を訴えられなくなる可能性もある」と懸念を示している。
Xのフォロワー数が約38万人、YouTubeチャンネルの登録者数が32万人を超える田端氏の発言について、誹謗中傷に詳しい弁護士は、「無能」「バカ」といった言葉は侮辱罪の構成要件に該当する可能性が高く、社会的影響力の大きさなどが悪質性の判断に影響すると見ている。
侮辱罪は、SNSでの誹謗中傷対策を背景に2022年に法定刑が厳罰化されている。田端氏はインタビュー内で「これからも萎縮することなく、投資家や株主の立場から経営に問題提起を続けていく」と発信継続の意向を表明。10月24日のYouTubeのライブ配信では、在宅起訴の報道を受け、「起訴状が来るまでコメントはできませんが、報道が事実であるならば、裁判が楽しみです。みなさん傍聴にきてください」と語った。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













