どの「筋肉」を意識すると運動の効果が激増するのか

アルツハイマー病を予防する手段としてウォーキングを提案しているのは、なにも、それがラクな方法だからではありません。ウォーキングこそ、最も効果的な運動なのです。

その秘密は「ある筋肉」にあります。

2022年にアメリカのヒューストン大学の研究者たちが、非常に興味深い論文を発表しました。彼らが注目したのは「ふくらはぎ」の機能です。

ふくらはぎの筋肉は、腓腹筋とヒラメ筋という二種類の筋肉の総称である下腿三頭筋から構成されています。

このなかでもとくに重要なのが、腓腹筋の下に隠れているヒラメ筋です。このヒラメ筋こそ、アルツハイマー病予防の「鍵を握る筋肉」です。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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ヒラメ筋は、歩いていてかかとが地面から離れる瞬間、つまりつま先で地面を蹴り出すときに使う筋肉です。文字どおりその外見が魚のヒラメに似ていることから名づけられました。

ヒューストン大学の研究者たちは、ヒラメ筋が全身の筋肉のなかで最も効率的に糖を消費できることを発見しました。インスリンの力を借りずにどんどん糖を消費してくれる「スーパー筋肉」なのです。

どうやらヒラメ筋には他の筋肉に比べて、糖を取り込むためのドア(GLUT4)がもともと多く存在しているようです。

人類が二足歩行を始めた太古の昔から、歩きやすく、効率的にエネルギーを使えるための筋肉として進化してきたのでしょう。

また、ヒラメ筋は持久力に優れた「遅筋線維」というタイプの筋肉でできているため、長時間歩くのに最も適した筋肉であるとも言えます。

ヒューストン大学の研究成果は、このヒラメ筋を使った運動が、血糖値を下げるのに非常に効果的であることを報告しています。つまり、「歩く」ことです。

これが、皆さんにウォーキングをすすめる理由です。

文/下村健寿

『糖毒脳 いつまでも「冴えた頭」でいるために知っておきたいこと』(ダイヤモンド社)
下村健寿
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2026/4/15
1,650円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4478121757
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