ビーチバレーはお金がかかる競技、だからこそ自ら発信する

協会が着々とビーチバレーの普及を進めている一方で、競技を取り巻く経済的な環境は決して恵まれているとは言えない。世界を転戦するためには、多くの自己負担が伴うと2人は明かす。

「例えば、オーストラリアの大会に50万円以上かけて出場し、仮に優勝したとしてもなかなかプラスにはなりません……。国内大会でも遠征費を考えると黒字になることは稀です。それでも大会に出続けて、勝ち続けなければなりません。そうしないと、次の大会に出場できなくなってしまうこともあるからです」(白幡)

賞金が少なくても、楽しんでやることを忘れないあみすずペア(写真/本人提供)
ジャパンツアー3位入賞、どんな状況でも楽しんでやることを忘れないあみすずペア(写真/本人提供)

ビーチバレーは、各選手が大会で獲得・保有する「ポイント」によって出場できる大会が決まる。つまり、実力があっても、必要なポイントや活動資金がなければスタートラインに立つことすらできない。

「前年より良い成績を残さなければポイントは増えないので、海外遠征や地方遠征に多く行ける選手ほど有利です。私たちは金銭面で多く遠征に行くことはできません。なので、限られた出場機会の中で、いかに勝つかがとても重要ですね」(白幡)

さらに、出場機会そのものも限られている。実力だけでは突破できない壁が存在することも、競技の難しさの一因だ。

「大会では“ワイルドカード枠”というものが設けられることもあり、人気選手やVリーガーがその枠を使って出場する場合もあります。例えば8チーム中2枠がワイルドカードだと、実質6枠しかない。なので、実力があっても出場できないことも。この経験から、人気やビジュアルの重要性も実感しました」(白幡)

知名度のある選手の出場は必然的に観客の増加につながる。そういった背景もビーチバレーの課題の一つだろう。

そうした現状を踏まえ、選手たちは競技外での取り組みにも力を入れ始めている。例えば、「あみすず」は活動資金を確保するため、クラウドファンディングを試みた。

「クラウドファンディングを行なったのは、資金面だけでなく、私たちのペアやビーチバレーを知ってもらうためでもあります。その結果はシーズンが始まらないと分かりませんが、挑戦したこと自体に意味があると思っています」(福田)

競技の未来を考えるうえで、認知の壁は避けて通れない。実力だけでは埋められない“人気”という要素が、大きな課題として立ちはだかる。

「マイナー競技だからこそ、競技の魅力だけでは注目されない。仮にオリンピックに出場しても一時的な注目で終わってしまうこともあります。だからこそ、競技の魅力に加えて選手たちも自ら発信していく必要があると思います。

私たちは、今回クラウドファンディングなどの取り組みを通じて、少しずつ注目してもらえるようになってきましたが、まだまだ十分ではありません。“あみすず”にも“ビーチバレー”にも、もっと注目してもらえるよう頑張りたいと思っています!」(白幡)

楽しいだけでは続けられないプロスポーツの世界。それでも彼女たちは終始、笑顔で受け答え、ビーチバレーの明るい未来を願っていた。足りない説明を2人で補い合う、そんな二人三脚のあみすずがビーチバレーを新しいステージへ押し上げてくれるはずだ。

後編では、彼女たちの活動資金やデュアルキャリアという働き方、今後の展望について話を聞いた。

取材・文/千駄木雄大