知られざるビーチバレーの世界

ビーチバレーはアトランタ五輪(1996年)で正式種目に採用されたものの、日本では長らく注目度が高いとは言えない“マイナースポーツ”のひとつだった。だが2004年、“ビーチの妖精”こと浅尾美和の登場によって、状況は大きく変わる。

モデルやタレント活動もこなすルックスで人気を集めた浅尾は、写真集が6万部、DVDが3万枚を突破するなど一躍スターとなった。それに伴い、ワイドショーやスポーツ番組でビーチバレーを取り上げる機会が急増し、一気に一般層へと浸透。

近年も、衣笠乃愛と菊地真結の「のあまゆ(2025年解散)」など、実力だけでなくルックスにも注目が集まる選手が台頭している。

とはいえ、日本での浸透はまだ十分とは言えず、バレーボール選手の「セカンドキャリア」という印象を持つ人も多いのではないだろうか。

「ビーチバレーは何歳になっても続けられる競技なんですよ! 40代でもトップで活躍している選手がいます。まさに生涯スポーツですね!」

そう笑顔で語るのは、ビーチバレー選手の白幡亜美。福田鈴菜と「あみすず」ペアを組み、「ジャパンツアー・ワールドツアー優勝」を目標に、国内外の大会へ継続的に挑戦している。

「(屋内の)6人制バレーボールに比べると、ビーチバレーは選手寿命が長いです。ベテラン選手は経験による“読み”や”駆け引き”があり、相手のいない場所にうまくボールを落とす技巧派。パワーやスタミナだけではない戦い方ができます。一方で、若手選手は走って拾って、パワフルなスパイクを打つプレースタイル。テクニックとスタミナのぶつかり合い、その違いを見ながら楽しめるのも見どころです」(白幡)

そんなビーチバレーが日本で市民権を得たのはまだまだ最近のこと。2017年の愛媛で開催された「愛顔つなぐえひめ国体」から国体の正式競技となり、2019年の茨城国体(いきいき茨城ゆめ国体)から少年男女の部が追加され、ビーチバレーを専門とする選手も増えつつある。

「正式競技になったことで、強豪校だけでなく多くの学校でビーチバレーの練習が行なわれるようになりました。若手の競技人口も少しずつ増えていて、6人制を主にやっていた選手が社会人になってビーチバレーを選ぶケースもあります」(福田)

一見すると同じ“バレーボール”だが、向き不向きは異なる。インドアのバレーがポジションによる役割が重要である一方、ビーチバレーはすべてのプレーをこなす必要がある。

「私は身長が低く、バレーボール時代は悔しい思いもたくさん経験してきました。インドアバレーでは、何かに秀でている選手の方が注目されやすいと思います。一方でビーチバレーでは拾って、繋いで、打つ、全てをこなすオールラウンダーの選手が活躍しやすいです。

例えば、SVリーグで活躍していた選手が、ビーチに転向してすぐに勝てるというわけでもないんですよ。6人制ではかなわない選手にも、ビーチでは勝てるなんてこともあって、そういった点も面白いですね」(白幡)