イラン情勢の迷走は、中国経済にも致命傷になるはずが…

モンロー主義とは、アメリカ大陸の内側の出来事だけに専念するという古い外交方針である。多大な犠牲を呑み込んできた中東の争いに、米国はもう耐えられない。自国の血と税金をこれ以上海外の紛争に注ぎ込むことを拒否するという意思表示である。

しかし、アメリカという超大国が世界の舞台から降りるという決断は、世界各地に巨大な力の空白を作り出す。真空状態が存在しないのは、国際政治の世界でも同じである。

米国が内向きな姿勢を強めることは、中国にとって千載一遇の好機となる。東アジアにおいて米国の存在感が薄れることは、中国が地域全体に影響力を広げるための道を切り開く結果をもたらす。

中東の不安定化は、通常であればエネルギーを輸入する国にとって最大の脅威となる。イラン周辺の緊張が高まれば、石油輸送の生命線であるホルムズ海峡の安全が脅かされ、世界経済は大きな打撃を受ける。

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中国もまた、中東の石油に大きく依存する国家である。イラン情勢の迷走は、中国経済にとっても致命的な弱点になるはずであった。しかし……。

中国は決して無防備ではなかった

「中国の中東湾岸からの輸入は海上供給の50%強を占めていた。中国はまた、純海上原油輸入の120日分に相当する大量の商業用・戦略的備蓄を保有している。ホルムズ経由で輸出される中東原油の主要アジア買主は中国である」(国際エネルギー機関(IEA)『石油市場レポート』3月12日)

分析データが示す通り、中国は決して無防備ではなかった。120日分という途方もない量の石油を、静かに備蓄し続けている。さらに中国は、ロシアからのパイプライン輸送を拡充し、アフリカからの調達ルートを開拓するなど、中東以外の選択肢を周到に準備してきた。

エネルギーの調達先を多様化することで、中東の危機が直撃するリスクを分散させている。米国の迷走がもたらすホルムズ海峡の危機は、中国経済を揺るがすほどの破壊力を持たない。事態を収拾できずに右往左往する米国の姿は、国際社会における威信を大きく傷つけ、相対的に冷静な中国の地位向上に繋がっているのである。

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来月、5月の14日と15日の二日間、北京において米中首脳会談が開催される予定である。世界中の視線が北京に注がれる中、同盟国の人々の間には、期待よりもはるかに大きな不安が広がっている。