お嬢様キャラから子どもの相棒へ
──家柄が先に注目されてしまうことへのやりづらさも?
ありましたね。自分では一度も「私はこういう家の人間です」って言ったことがないのに、いつの間にかそういう情報が一人歩きしてしまって……。バラエティ番組にたくさん出ていた時期は「お嬢様キャラ」を求められることも多かったです。
自分の中にはそんなに分かりやすいエピソードがあるわけでもないのに、「何を話せばいいんだろう」と苦しくなるときもありました。
──でも、その「作っていない」感じこそが、新鮮に映ったのかもしれません。
そうだったらうれしいです。それこそ「品」って、たぶん作るものじゃないんですよね。私が思う「品」って、きちんと挨拶をするとか、口に出してはいけないことが判断できるとか、そういう当たり前のことが自然にできることなんじゃないかなって思うんです。
それってきっと、親に教育されたというより、家庭の空気の中で自然と身についたものなんだと思います。
──2024年に結婚や出産を経て、ご自身のご家庭を持った今の生活はいかがですか?
子どもが生まれてから大きく変わりました。最初の半年くらいは、「母親ってこうあるべきなんだろうな」って、自分の中で勝手にすごく思い込んでいたんです。私の母は、私の前で一度も泣いたことがない人だったので、お母さんって完璧でいなきゃいけないのかな、みたいな気持ちがどこかにあったんですよね。
でも、自分はそんなに完璧じゃないし、このまま完璧な母親になろうとしても無理だなって思って。だったら、子どもとは「相棒」みたいな関係でいた方がいいんじゃないかと思うようになりました。一緒に学んで、一緒に楽しんで、ダメなことだけ「ダメ」と言う。今はそういうスタイルの方が、自分には居心地がいいです。
──最後に、「麻布令嬢」として生活する上でいちばん心掛けていることはなんですか?
(笑)。ご機嫌でいること、かもしれないです。昔よりも自分に合う暮らし方とか、人との距離感とかをちゃんと選びたいと思うようになりました。家族から受け継いだものはたくさんあるけれど、それに縛られるんじゃなくて、自分の生活の中でちゃんと更新していきたい。その感覚は、仕事でも家庭でも大切にしていきたいですね。
取材・文/キムラ 撮影/杉山慶伍













