「ひきこもり、30代中盤、無職」で検索も

ひきこもる期間が長くなり、貯金が尽きると親が援助してくれた。だが、申し訳なさは募るばかり。精神的にも追いつめられ「自分が大っ嫌いだった」という。

「寝るときとか、いろいろ考えちゃって、すごく気持ちが落ち込むんですよね。少しずつ沈んでいく沼にいるみたいな感じなんですよ。ホントに、ちょっとずつ、ちょっとずつ沈む。

深く沈むほど出るのが大変になるから、このままじゃマズい。早く抜け出さなきゃと思うけど、でも実際には何もできなくて、どんどん沈んでいく。だから、心の中は静かに死んでいく、みたいな感じでしたね」

苦しさのあまり、本当に死んでしまおうとする人も少なくない。岡田さんの場合、どうだったのかと聞くと、「それだけは考えなかった」と強い口調で否定する。

「自分が大っ嫌いだった」という岡田さん(撮影/集英社オンライン)
「自分が大っ嫌いだった」という岡田さん(撮影/集英社オンライン)
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「両親が悲しむのがわかっていたからです。死ぬっていう選択肢がないので、生きるしかない。だけど、働けるとも思えなかった。

30代後半で正社員経験が一度もないし、経歴の空白期間も10年ぐらいできちゃってる。40歳を過ぎたら、もっと働き口がなくなるという焦りもあったし、将来への不安がめちゃくちゃありました」

ネットサーフィンをしながら「ひきこもり、30代中盤、無職」というワードで何度も検索した。何とか抜け出した成功例を知りたかったのだが、参考にできるような事例は見つけられなかったそうだ。

そして、ひきこもってから10年が経ったある日、思いがけないことで、ひきこもりから脱するきっかけを得る――。

〈後編へつづく『「究極まで自己否定したら反転して…」10年ひきこもり男性の“逆転”』〉

取材・文/萩原絹代