2023年度(1月~12月)に反響の大きかった漫画記事ベスト10をお届けします。第4位は、漫画『「子供を殺してください」という親たち』の原作者、押川剛氏にノンフィクションコミックに込められた思いをインタビューした記事だった。(初公開日:2023年3月3日。記事は公開日の状況。ご注意ください)
#1 【漫画あり】毎日全裸でバットを振り、飼い猫まで殺した男と向き合う
#2 【漫画あり】なぜ37歳の才女は汚物のゴミ山で暮らすようになったのか
#4 【漫画あり】飲み会に誘ってセックスを動画撮影も…プアな大学生たちの貧しい現状
#5 【漫画あり】浴室で日本刀を振るひきこもり少年の末路は…
#6 【漫画あり】美人キャバ嬢はなぜドラッグに手を出したのか…
男性より女性の方が「事実」に向き合う
――漫画には、実吉あかねという押川さんの相棒が登場します。彼女もモデルが実在するんですか。
はい。ちょうどこれから実吉の過去のエピソードが描かれるので楽しみにしていてください。
――現在、トキワ精神保健事務所は、何人で活動されているのでしょうか。
常駐が3人で、必要なときに動ける人間がプラスで2人。移送に関しては民間救急の協力業者がいます。
――少数精鋭ですね。
悲しいかな、男性は辞めていくんですよ。K-1に出場する一歩手前の従業員とかもいましたが、ホンモノには敵わない。死ぬ気でいる人には、腕っ節もなにも関係ないですからね。
あとはやはり、女性の方が事実にしっかりと向き合います。患者さんの事実、家族の事実、自分の過去も含めてさらけ出したときに、すべてを受け入れるのは女性。男はそれがなかなかできないんだと思います。そういう意味でも、女性の方がリアリティを持って生きていると思いますね。
――当事者家族も同様ですか。
父親がめちゃくちゃ動きのいいところというのはなかなかないですね。お金に関することなら父親は動きますが、やはり子供のために圧倒的に動けるのは母親です。
ただ、それが親子ではなく、きょうだいの場合は逆で、男兄弟が動きます。姉や妹は消極的で、女性で動ける方は、みなさん家庭をもたない独身の方です。
――漫画でも奇行を続ける兄・誠一(仮名)の存在を思い詰めている、松元雄二郎(仮名)のエピソードが描かれていました。
あそこもすごかったですよ。誠一は根性焼きをたくさんしているんですが、家の中で肉の焼ける臭いがするんですよ(笑)。舌も自分で噛み切っているから、うまくしゃべれなくてね。
――それだけ対応困難な患者さんたちと向き合うのは、精神的にも相当強くないとできないと思います。その根底はどこにあるのでしょうか。
私自身が、枠にはまらない生き方をすることですね。もちろんルールは守りますが、どこかの組織にいてはできません。ひとりの人間としてここまでやれるんだ、というチャレンジ精神といいますか。
――簡単におっしゃいますが、誰にでもできることではないと思います。
だから、「押川はおかしい」と誹謗中傷を受けていますよ。最近は漫画のおかげで「ヤクザだと思ってたけど、ちゃんとした人なんですね」と言われるようになりましたけれど。