地検は当初、道路状況を鑑みて「事件」ではなく「事故」として処理

暴走車には3人の若者が乗っており、運転していた中国籍の男(当時18歳)は現行犯逮捕され、現場から逃亡した少年らも翌日には警察に出頭した。しかし、なんの落ち度もない51歳の男性を身勝手な暴走に巻き込んで死なせた重大な結果に対し、地検は当初、道路状況を鑑みて「事件」ではなく「事故」として処理した。社会部デスクはその判断を当時、こう分析していた。

事故から2か月後、現場に供えられた献花(撮影/集英社オンライン)
事故から2か月後、現場に供えられた献花(撮影/集英社オンライン)

「男は当然、道交法違反(酒気帯び運転)にも問われていますが、男性を死なせた罪を構成する『自動車運転死傷処罰法』では故意性が認められず、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金が法定刑の『過失』になりました。

仮に『危険運転』が適用され、故意性が極めて強いと判断されれば刑法199条の殺人罪(死刑・無期または5年以上の懲役)で処罰されることもあるだけに、(当初「事故」と判断されたのは)遺族感情を斟酌すれば『無念』との声もあるでしょう。地検がこの処分に至ったのは、現場の一方通行から二輪車が除外されており、危険運転致死罪は規制対象を限定した道路には適用しないという規定があったからです」

その後の控訴審判決に至るまでの流れは、事件の重大性を踏まえれば、当然の帰結ととらえる向きが多いだろう。現行法の範囲内で可能な最大限の捜査と、無理のない解釈が行なわれた結果と言える。

控訴審が棄却された今、20歳になった“元少年”と遺族は何を思うのか――。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班