弁護側は「被告はまっすぐ走行できており、制御困難ではなかった」

事故は男が18歳当時の2024年9月29日早朝に発生し、埼玉県警は男を自動車運転処罰法違反(過失傷害)の現行犯で逮捕、危険運転致死容疑で送検した。しかし、さいたま地検は「現場道路が二輪車を一方通行から除外しており危険運転致死罪の構成要件に該当しない」と量刑の軽い過失運転致死容疑に切り替えて、さいたま家裁に送致した。

同家裁からの逆送致を受けた同地検は過失運転致死罪(7年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金)などで起訴したが、「捜査を続けた結果、運転態様が悪質で危険であることが認められ、訴因変更をするに足る証拠があると判断した」と訴因を危険運転致死罪(最高20年の有期拘禁刑)に変更することを請求。

これを認めて開かれた一審のさいたま地裁は昨年9月、「制御困難な状態なほど高速走行していた」と危険運転致死罪を認め、求刑通りの懲役9年の判決を言い渡した。しかし、これを不服とする弁護側が控訴していた。

事故現場、衝突の瞬間の画像(画像/近隣提供)
事故現場、衝突の瞬間の画像(画像/近隣提供)
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裁判の争点となっていたのは、危険運転致死罪の成立の可否だ。成立するためには、被告の運転が制御困難であったことが必要となる。

一審で弁護側は「被告はまっすぐ走行できており、制御困難ではなかった」と主張。しかしさいたま地裁の江見健一裁判長は、「車道の幅が2・8メートルの狭あいな一方通行道路を、時速125キロの高速度で逆走し、わずかなハンドルのミスで車線を逸脱する可能性があり、制御が困難だったと言える」と認定した。

控訴審の東京高裁の細田裁判長も「道路の両脇には電柱や街灯があり、被告の車の左右には40~50センチしか余裕がなかった。その道路を時速125キロで走行したことを『制御困難』とした法的判断は相当なものとして維持できる」と一審を支持した。