「『大学が把握している』と分かれば引き下がることも多い」

今春卒業予定のある学生は、選考中から企業の人事担当者に「内定が出たら、うちに決めるよね?」と何度も念を押され、断りにくい雰囲気を作られたという。

内定したその日のうちに承諾書にサインさせるという強引な進め方に、学生は周囲の友人から「オワハラではないか」と指摘され、ようやく冷静になれたそうだ。

誠実さを欠く企業の姿勢が、皮肉にも優秀な人材を手放す原因となった象徴的な事例である。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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就職エージェントという新たなサービスがからみ、深刻化する「オワハラ」問題。取材をした中央大学には年間で5000人前後の就活生がいるが、前出の松村キャリア教育・就職支援担当副部長は、最後にオワハラから学生を守る決意を強調した。

「今年度も数件の相談がありましたが、実際にはもっと多くの学生が一人で抱え込んでいて、我々が掘り起こせていないリスクもあるはずです。だからこそ今回、あえて学生向けに『すぐ相談してほしい』とメッセージを出しました。

自分一人で解決しようとせず、大学を頼ってほしいんです。学生にとっての盾になりたい。エージェントのクライアント企業にしても、大学からの印象を悪くするのは採用上の痛手ですから、『大学が把握している』と分かれば引き下がることも多い。

エージェントが当たり前の時代だからこそ、先輩の紹介だからと鵜呑みにせず、彼らの実績を慎重に見極めてほしい。少しでも違和感があれば、迷わずキャリアセンターのドアを叩いてください。それが自分を守る一番の近道ですから」

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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就活の早期化という荒波の中で、孤立する学生をいかに守るか。大学側の毅然とした姿勢が、かつてないほど問われている。

さらに学生の弱みにつけこむ悪質なエージェントや企業は、社会の厳しい目が注がれていることを自覚しなくてはならないだろう。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班