2021年内閣府調査では11.6%の学生が「オワハラを受けた」と回答

就活の景色はコロナ禍前後で一変し、転職エージェントの手法が新卒市場にも一気に入り込んできた印象だという。

「体感では、学生の半数以上が何らかのエージェントに登録しているはずです。面談に来る子の多くが『エージェントを使っている』と言いますから。

ES(エントリーシート)添削や面接対策を早くから受けられるのは魅力ですが、その分、企業の実態や雇用条件を十分知らないまま話が進んでしまう危うさがあります。

2年生の3月から使い始め、右も左も分からないうちに囲い込まれてしまうんです。引き止めも執拗ですよ。

辞退しようとしても『もう一度話そう』と何度も電話が来る、面談を迫られる。学生が断っても止まらない。他大学も警告を出していることからも、全国的にこうしたケースは急増していると感じます」(同前)

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

利用者である学生側も、決してエージェントを全面的に信頼しているわけではない。来年度に卒業を控えた都内の大学3年生は、次のように実態を語る。

「意識が高い子は、大学1年生の終わりの頃から先輩のツテとかをたどって、就職エージェントと交流を持ち、大学2年生の秋から冬にかけて早期選考またはインターンの獲得のため奔走しています。

例えば面談対策やESの添削などですね。基本、学生にお金がかからない場合が多いです。自分たちでインターンや面接応募などはするものの、就職エージェント頼りの人は確かに一定数います。

ただ、薄っぺらいというか胡散臭いというか、良いイメージは正直持ってはいないです。うまい具合に学生を言いくるめて、自分たちが就職させたいところに落ち着かせている印象を持っています」

さらに、就職エージェントのみならず、企業によるオワハラも深刻だ。

「オワハラ(就職活動終われハラスメント)」を巡っては、2023年4月に政府が「就職をしたいという学生の弱みに付け込んだ、学生の職業選択の自由を妨げる行為」であると公式に定義した。

これを受け、当時の小倉将信共生社会担当相は経団連や日本商工会議所に対し、再発防止の徹底を強く要請した事例がある。

内閣府が2021年11月に公表した調査によると、1社以上から内々定を得た学生のうち11.6%が「オワハラを受けたことがある」と回答。

内々定を出す代わりに他社の就活をやめるよう強要されたり、内定承諾書の即時提出を求められたりする事例が目立つ。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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この他にも、内々定後に長時間の研修を組んで他社の選考を妨害したり、頻繁な懇親会への出席を強要したり、自由応募なのに急遽「大学の推薦状」の提出を求めるといった強引な手法が報告されている。