「我々も聞いたことがないような会社が山ほどある」
昨今の就職活動では、学生が「就職(就活)エージェント」を使うのが当たり前になっている。
就職エージェントとは、「プロのキャリアアドバイザー」が学生の就職活動をマンツーマンで支援するサービスで、学生は無料で利用できることがほとんどだ。
社会人の転職エージェントと同じく、採用した企業から手数料をもらうビジネスモデルだ。ゆえに、一部のエージェントは内定辞退しようとする学生に対し、悪質な引き止め行為をすることがあるという。
中央大学の松村祐明キャリア教育・就職支援担当副部長によれば、辞退の際に違約金を請求されたり、内定承諾書に億を超える極度額の保証人を求める例もあったという。
「ある1社では『億単位』の違約金の額が書かれていたケースもありました。選考にコストがかかっていると違約金をチラつかせ、内定辞退の際にも損害金を請求すると脅して引き止める。
その学生は親御さんと共におかしいと気づいてサインせずに相談に来てくれましたが、実際には請求できないにしても、エージェントが平気でそのようなことを言うのが実態です」
中央大学は3月17日、公式ホームページにて「就職エージェント等の利用に関する注意喚起」という異例のメッセージを公表した。松村キャリア教育・就職支援担当副部長は今回の注意喚起に踏み切った背景をこう語る。
「現場の我々からしても決して他人事ではありません。ちょうど今、3年生が本格的な就職活動をスタートする時期ですが、最近は就職エージェント絡みの相談が本当に立て続けに寄せられています。
以前から断続的に相談はありましたが、今回は特に悪質なケースが目立ったので、改めて学生たちに強く注意を促すことにしたんです」(同前)
かつての就活は大手情報サイトを通じた自走型が主流だったが、この10年で景色は一変した。
「一番の問題は、我々が把握しているマイナビやリクナビといった大手就職情報サイトとは全く別のところで、学生が『大学の知らないエージェント』と接点を持ってしまっている点です。
大手エージェントなら営業担当者が大学に来ることもあり、我々も内容を把握した上で学生に紹介できますが、今はそうじゃないルートが主流になりつつあります。
しかも、学生が本格的に就活を始める前の、いわば『早期化のさらに前』の段階で接触してくるんです。まだ知識も経験もない学生が狙われるから、当然トラブルも起きやすくなります」(同前)
そのアプローチは驚くほど早く、1年生や2年生のうちからアプローチを受けるのは普通だという。
「首都圏の駅貼りポスターにQRコードがあれば、学生は抵抗なく読み込んで登録してしまいますからね。1年生でも簡単にエージェントに登録してしまう。もはや、エージェントを全く使わずに就活する学生のほうが少数派ですよ。
インターン前にプロのコーディネーターからフィードバックをもらえるというメリットがあれば、早く動こうとする学生ほど飛びついてしまう。
特に首都圏はエージェント産業が活発です。大資本がなくても参入できるため、我々も聞いたことがないような会社が山ほどあります。その中には、強引な手法で学生を引き止める会社や担当者が紛れ込んでいるんです」(同前)













