「僕はただ、佐藤和威を取り戻したい」報告書の受け渡しは3月26日

PTSDについては、当時の主治医が国際的に評価が高いPTSD症状評価尺度によるテストを複数回実施。いずれも高い点数が表れたため、重度のPTSDと診断した経緯が裁判の陳述書にも示されていたが、認められなかった。

しかし高校時代の教師は、後遺症に苦しむ和威さんの様子を、裁判に提出した書面にこのように書き記している。

《1年生の教室が5階にあり、窓側に寄せていた机といすに上り飛び降りようとし、教員がとめた》

《空き教室にいて「どうしたの?」と聞くと、「ひとりでいるとわからなくなる。大勢の『死ね』という声が聞こえる」と、顔面蒼白で震えているときもありました》

不満の残る結果となったものの、この裁判の判決を受け、鳥栖市教育委員会は22年末、11年越しに和威さんの事案を「重大事態」と認定し、23年に調査委員会を設置。

和威さんはこれを受け、「佐藤和威を取り戻すため、こういう被害を少しでも減らすためにも、機会があれば自分なりに声を上げていきたい」と語っていた。

加害者たちのエアガン。中には改造が施されているものもあった(写真/家族提供)
加害者たちのエアガン。中には改造が施されているものもあった(写真/家族提供)

それからおよそ3年、報告書の受け渡しを前に、今もその気持ちは変わっていない。

「僕はただ、佐藤和威を取り戻したい。しかし今も、当時の記憶がフラッシュバックして、体が動かなくなってしまうことがあり、日常生活がままならない状況です。

あの時何があったか、僕はどうしたらよかったのか。本当に、学校や市に責任はないのか。その答えが出ない限り、前には進めない」

和威さんの代理人を務める辰巳弁護士も、こう語る。

「学校がいじめをなぜ早期発見できなかったのか、あるいは発覚後に学校が行なってきた対応は適切だったのか。今後、同じような事件が起こることを防ぎ、今も苦しむ和威さんとそのご家族の救済に資するような報告書が提出されることを願っています」

報告書の受け渡しは3月26日、鳥栖市役所で行なわれる。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班