演劇における笑い、ふたりの笑いのルーツ

――ここまでのお話で、おふたりの創作の核に「笑い」の要素があることがよくわかったのですが、それぞれの演劇と笑いにまつわるルーツについてお聞きしていいでしょうか。

大石 もともと私は映画が撮りたくて、立教大学の映像身体学科で学んでいたんです。そこでは監督として俳優と協働するんですけど、俳優たちが何を感じ、考えながら演じているのかが摑めなくて。

例えば、あるセリフを言ってもらうとして、うまく言える人とそうでない人がいますよね。しかもこの「うまい」の感じ方も人それぞれじゃないですか。じゃあ、まずは自分でもやってみようと思って、映画美学校のアクターズコースに入ったんです。

蓮見 そうか、映画から。僕もなんですよ。

大石 蓮見さんは日大の芸術学部ですよね。美学校では演技について学んだので、講師には劇作家や俳優もいて。そこで松井周さんの「サンプル」とか岩井秀人さんの「ハイバイ」に出会い、彼らの会話劇がめっちゃ面白かったので、自分でも書いてみたいなと思ってそのまま演劇のほうに進んだ感じです。

蓮見翔(はすみ・しょう)
東京都出身。2020年に男女8人組コントユニット「ダウ90000」を結成。演劇、コントの脚本・演出を手掛ける。第70回岸田國士戯曲賞受賞作『ロマンス』の戯曲が5月18日発売予定。
大石恵美(おおいし・えみ)
大阪府出身。2018年に演劇ユニット「ダダルズ」を旗揚げ。23年から作・演出・出演を自身で担う形式の作品を発表。岸田賞受賞作『よだれ観覧車』の戯曲が5月18日発売予定
蓮見翔(はすみ・しょう)
東京都出身。2020年に男女8人組コントユニット「ダウ90000」を結成。演劇、コントの脚本・演出を手掛ける。第70回岸田國士戯曲賞受賞作『ロマンス』の戯曲が5月18日発売予定。
大石恵美(おおいし・えみ)
大阪府出身。2018年に演劇ユニット「ダダルズ」を旗揚げ。23年から作・演出・出演を自身で担う形式の作品を発表。岸田賞受賞作『よだれ観覧車』の戯曲が5月18日発売予定
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蓮見 僕が日芸に行ったのは、爆笑問題さんの出身校だったから。最初はやっぱお笑いがやりたかったんですよ。でもそこで一緒に演劇やらないかって誘われて。ダウは演劇サークルが母体で、最初はコントばっかりやってたんですけど、メンバーみんな役者志望だから演劇もやらなくちゃと思って。

いざやってみると楽しいんですよね。楽しいからここまで続いてる。大石さんはなんで一人芝居をやるようになったんですか。

大石 もともとはダダルズも複数の俳優と会話劇をやってたんです。でも、私は人に何かを頼むのが絶望的に苦手で、集団で創作をすることにすごく疲れちゃって。

だから、ひとりでやるっていうのは、私が創作を続けていくための最後の砦だったんです。気楽ではあるんだけど、毎回どうにかしてひとりで展開を捻りださなきゃいけないから大変です。

蓮見 すごいっすよ、ほんと。

――逆に蓮見さんはダウ90000が8人組であることをつねに念頭に置きながら創作するとなると、それはそれで制約も多いと思いますが。

蓮見 もう、最悪です(笑)。なんでこんなに大勢いるんだよっていう。みんな同世代なんですけど、5年ぐらい続けてきて、若者が8人揃うような設定がもはや尽きてますから。

大石 それぞれの持ち味に合った設定を割り振ってかなきゃいけないですしね。

蓮見 それもそうだし、やっぱり一人ひとりに売れてほしいっていう気持ちもあるんで、ちゃんと全員に笑いと見せ場を平等にちりばめなきゃいけない。お恥ずかしい話ですけど。メンバーのバランスがよかったんで、そこに毎回助けられてますね。

大石 もともと、お笑いはどんなものを観てたんですか?

蓮見 さまぁ~ずさんがすごく好きで。あと、コントでいえばラーメンズさん。小林賢太郎さんは演劇もやってらっしゃるし、かなり影響を受けてますね。