「母親と妹を殺されたくなかったら、命令を聞け!俺に服従しろ」
「その日は、2月に入院した母が退院し、半年ぶりに家に帰ってくる日でした」
和威さんは2012年、中学1年の夏の日のことを、こう振り返る。当時も毎日のように、加害者に付きまとわれる日々が続いていたが、母が退院するその日ばかりは和威さんも、加害生徒に「NO」を突き付けることを決めていたという。
「案の定、自宅まで加害者たちが押しかけてきたのですが、『行けない』と断りました。でも、加害者たちはあきらめずに、何度も何度もインターフォンを鳴らし、家にエアガンを向け始めました」
和威さんの母も当時をこう回想する。
「私たちが、『和威は行けないから』と言っても、『なんでですか? 和威を出してください』『和威ー! 出てこい!』とすごい声で怒鳴るんです。対処に困って、学校の担任の先生に電話し、『帰宅を促してくれないか』と頼みました。
先生は自宅前まで車で来てくれましたが、車内から窓を開け『早く帰りなさい』とだけ言って帰ってしまって。結局、和威が折れて、『用事があるから行ってくる。すぐ戻る』と家を出ました」
和威さんも当時の気持ちをこう明かす。
「今度こそ、先生は助けてくれると安心したのが間違いだった。先生が帰ってしまった時の、白い車が忘れられない」
和威さんは待ち受けていた加害者の一人、Bの自宅へ連れていかれたという。
「家に入ると、B君は僕に包丁を向け、『お前の命は俺が握っている』『母親と妹を殺されたくなかったら、命令を聞け! 俺に服従しろ』と脅してきました。
さらに、B君は女性用のヘアスプレーと殺虫スプレーを持ってきて、僕に『どっちか選べ』と。僕がヘアスプレーを示すと、B君は僕の顔めがけて、殺虫スプレーを噴射してきました。吐き気がして、苦しくて。
でも、何よりショックだったのが、家族に危害を加えると言われたことでした。それまでも、『死ね』とか『殺す』といった言葉は浴びていましたが、殺意が家族に向けられていると知り、底知れぬ恐怖を感じました」













