「当時の僕には彼らにお金を渡す以外の選択肢はなかった」
家族への危害を匂わせ、和威さんを支配下に置いた加害者たち。この頃から、和威さんの脳裏に「自殺」の二文字がよぎるようになる。
しかし、加害者たちはそんな心中を見透かしてか、こう言い放ったのだという。
「『お前が死んだら、ブツ(金銭)を巻き上げられなくなる。だから自殺するなよ』と。『いじめがバレたり、お前が自殺したら、母親や妹がどうなるかわかっているよな』というようなことも言われました。そして最後にこう言うんです。『クリスマスまでに、お前を殺してやるから、安心しろ』と……」
「クリスマスまでに殺してやる」。恐ろしい殺害予告だが、当時、精神的に追い詰められていた和威さんにとって、その言葉は「希望」に思えたという。
「クリスマスになったらこの苦しみから解放される。それまで僕が耐えれば、家族が傷つくことはない。
自分が貯金していたお金は、加害者たちに巻き上げられて底をつき、ついに両親のお財布や家に置いてあった、母の病気が再発した時の入院資金にも手をつけるしかありませんでした。罪悪感はありましたが、当時の僕には彼らにお金を渡す以外の選択肢はなかった」
のちの裁判で認められただけでも、加害者が要求した総額は、約32万8400円にのぼる。だが和威さんの母は、「裁判で証拠が認められなかった金額も含めた総額は100万円を超えるはずです」として、こう主張する。
「10月に入った頃から、お財布からよくお金がなくなるようになりました。ほかにも、和威がどんどん痩せ細っていき、体に傷をつけて帰ってくるなどおかしなことが増えたので、和威には『お守りだよ』といって、ICレコーダーを仕込んだことがありました。
何度か失敗してようやく録音できた音声を聞いた時は、愕然としました。『スナック菓子みたいに粉々にしてやる』『例のブツを持ってこい』という中学生とは思えない言葉で和威が脅されていたのです」
両親がどう学校に相談したものかと思案するうちに、事態が動いた。10月23日、生徒の一人が和威さんが金銭を要求されていることを担任に告げたことで、和威さんが金銭要求を含むいじめを受けていたことを学校側が知ることになったのだ。
母は翌日、警察へ通報し、被害届を提出。いじめの実態は教育委員会にも報告された。しかし、和威さんは再び“裏切り”にあい絶望する。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













