Netflixの独占配信を3割が受け入れるという現実

そして、Netflixが革命的だったのは、公共性が高かったスポーツの視聴に対してお金を払うという文化を形成しつつある点だ。

先の産経リサーチ&データの調査で、Netflixの独占配信という異例な形になったことへの回答では、「地上波で見られないのは残念だが、放映権料の高騰などを考えればビジネスとして仕方ない」が21.3%、「これからの時代、世界的なスポーツ大会が有料配信になるのは自然な流れだと思う」が9.4%だった。3割超がNetflixの独占配信を受け入れているのだ。

アメリカでは、スポーツ専門チャンネルが早くから発達しており、ケーブルテレビなどで有料で見るという文化が定着していた。有料視聴のハードルが低いのだ。そうした文化が、スポーツ選手や関連団体に多額の資金が回る原動力になっていた。アメリカ型の文化が少しずつ浸透する未来も見えてくる。

巨額を投じてスポーツの放映権を獲得した例に、ABEMAによる「FIFA ワールドカップ カタール 2022」の全試合の生中継がある。決勝トーナメント「日本対クロアチア」戦の視聴数は2000万を突破し、約2300万を記録した。しかし、無料だったために子会社のAbemaTVは四半期で103億円もの赤字を出す結果となった。

AbemaTV (写真/shutterstock)
AbemaTV (写真/shutterstock)

サイバーエージェントの狙いは明白で、ABEMAというサービスの認知度拡大だった。その後、視聴者数は堅調に推移してAbemaTVは黒字化を果たしている。

一方、Netflixの知名度は動画配信サービスの中でも群を抜いており、業界の先駆者として他社に一歩も二歩も先んじている印象がある。Netflixの日本のコンテンツ部門を統括する坂本和隆氏は、朝日新聞の取材に「Netflixが生活の一部になること」を目指すと答えている。

公共性が高いと考えられてきた日本のスポーツコンテンツの将来的な有料化を示唆するかのような言葉だ。

文/不破聡