もはや「苦しい」という言葉では足りないほどの窮地
農業でトラクターを動かす燃料も、漁業で船を出す油も、ビニールハウスを温める重油も、手の届かない値段になる。その結果、スーパーに並ぶ野菜や魚の値段は、これまでの倍近くに跳ね上がるかもしれない。家計を預かる者は、今日食べるものさえ選別しなければならない、厳しい現実に直面することになる。
私たち生活者の立場から見れば、もはや「苦しい」という言葉では足りないほどの窮地である。現在、円の価値が急激に下がる「円安」が止まらない。1ドル150円をも超えるような深刻な円安の中で石油の値段が上がることは、家計の息の根を止めかねない猛毒となる。
石油が高くなれば、冬の暖房費を払えず凍える夜を過ごし、仕事や病院に行くための交通費さえ惜しまなければならなくなる。毎月の光熱費が数千円、数万円と上がることで、貯金は底をつき、生活は音を立てて崩れていく。
子供の未来のための教育費や、病気を治すための医療費を削らざるを得ない家庭が、街中にあふれるだろう。工場が止まれば、働く場所が奪われる。こうした絶望の連鎖が、日本という国全体の活力を奪い去る。
日本のGDPは3パーセント低下する可能性がある。製品を作ることも、荷物を運ぶこともできなくなり、日本は世界の中で取り残されていく。消費は完全に冷え込み、景気は底の見えない暗い穴へと落ちていく。
「ホルムズ海峡の長期閉鎖は、確実な世界的な不況だ」
今後の予測についても、厳しい展望が示されている。
「『ホルムズ海峡の長期閉鎖は、確実な世界的な不況だ』と、コンサルティンググループRapidan Energyの創設者で、ジョージ・W・ブッシュ元大統領のエネルギー顧問だったボブ・マクナリー氏は述べた」(3月2日、Fortune)
今回のような危機が繰り返される現実を前に、原子力発電の役割を改めて考えるべきではないだろうか。エネルギーを自前で用意する割合が高まれば、安定した電力を手に入れることができる。過去にオイルショックで学んだ教訓を、今こそ活かさなければならない。
エネルギーを他国に委ねたまま、供給の脆さを放置し続けることは、家族の命や未来をギャンブルにさらすのと同じことである。













