商業絵画のウォーホルと大量生産されるレコード

このイベントの成功により、ウォーホルはヴェルヴェッツのアルバムをプロデュース。

そしてのちのロック・シーンに多大な影響を与えることになるアルバム、『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(1967年)が生まれる。

バナナが描かれた有名なレコードジャケットは、もちろんウォーホルによるもの。バンド名のクレジットはなく、ウォーホルの名だけがプリントされた。意味深なバナナの皮はめくりたくなる心理。インパクトは計り知れなかった。

『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(2017年5月17日発売、UNIVERSAL MUSIC JAPAN)のジャケットは、アンディ・ウォーホルが手がけた有名なバナナのアートワーク
『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(2017年5月17日発売、UNIVERSAL MUSIC JAPAN)のジャケットは、アンディ・ウォーホルが手がけた有名なバナナのアートワーク

ウォーホルがレコードジャケットを手掛け始めたのは、ファッション雑誌や広告類で成功を収めた1950年代の商業デザインの時代に遡る。

この頃はブロッテド・ライン(しみつきの線)と呼ばれるイラストやドローイングが特徴で、ブルーノートなどのジャズレーベルの作品がある。

ウォーホルは1970年代以降、社交家としてのビジネスアートに突入。制作費を定額にした注文肖像画や雑誌『インタビュー』を発行した。

雑誌はポップカルチャーの紹介をしつつも、肖像画の営業ツールとしてしたたかに機能していたという。「ファクトリー」はいつしか「オフィス」と呼ばれていた。

この時代にもローリング・ストーンズやアレサ・フランクリンなど、多数のレコードジャケットを残している。

アンディ・ウォーホルが手がけたローリング・ストーンズの『STICKY FINGERS』のジャケット。写真は『STICKY FINGERS [輸入盤]』(2015年6月9日発売、UNIVERSAL MUSIC JAPAN)
アンディ・ウォーホルが手がけたローリング・ストーンズの『STICKY FINGERS』のジャケット。写真は『STICKY FINGERS [輸入盤]』(2015年6月9日発売、UNIVERSAL MUSIC JAPAN)
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30センチ四方のレコードジャケットというサイズ感は、アーティストの作品発表欲を満たすキャンバスであったに違いない。商業絵画のウォーホルと大量生産されるレコード。むしろこんなにも相性の良い関係はなかった。

文/中野充浩、佐藤輝 編集/TAP the POP