商業絵画のウォーホルと大量生産されるレコード
このイベントの成功により、ウォーホルはヴェルヴェッツのアルバムをプロデュース。
そしてのちのロック・シーンに多大な影響を与えることになるアルバム、『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』(1967年)が生まれる。
バナナが描かれた有名なレコードジャケットは、もちろんウォーホルによるもの。バンド名のクレジットはなく、ウォーホルの名だけがプリントされた。意味深なバナナの皮はめくりたくなる心理。インパクトは計り知れなかった。
ウォーホルがレコードジャケットを手掛け始めたのは、ファッション雑誌や広告類で成功を収めた1950年代の商業デザインの時代に遡る。
この頃はブロッテド・ライン(しみつきの線)と呼ばれるイラストやドローイングが特徴で、ブルーノートなどのジャズレーベルの作品がある。
ウォーホルは1970年代以降、社交家としてのビジネスアートに突入。制作費を定額にした注文肖像画や雑誌『インタビュー』を発行した。
雑誌はポップカルチャーの紹介をしつつも、肖像画の営業ツールとしてしたたかに機能していたという。「ファクトリー」はいつしか「オフィス」と呼ばれていた。
この時代にもローリング・ストーンズやアレサ・フランクリンなど、多数のレコードジャケットを残している。
30センチ四方のレコードジャケットというサイズ感は、アーティストの作品発表欲を満たすキャンバスであったに違いない。商業絵画のウォーホルと大量生産されるレコード。むしろこんなにも相性の良い関係はなかった。
文/中野充浩、佐藤輝 編集/TAP the POP














