時代を全うした「駅ホーム」の一杯
昨年2月には、西新井駅西口駅前に「西新井らーめん」の支店が誕生した。その存在は、今回の閉店を語る上で欠かせない。駅前店の看板ができた時から「移転か?」と騒がれていた。ホームの店は閉じるが、味と名前は残る。それは終わりではなく、カタチを変えた継承だ。
現在、立ち食いラーメン自体は新しい潮流を迎えている。「新橋ニューともちんラーメン 神保町店」「田町油そばセンター」「立喰いらぁめん たいせい」など、駅前の狭小店を活用した人気店は確実に増えている。
一方で、駅ホームの立ち食いラーメンは、もはや絶滅危惧種と言っていい。電車を待ちながら一杯をすすり、食べ終えたらそのまま乗り込む。この電車の音を聞きながらラーメンを食べる体験は、今後ますます失われていくだろう。
閉店を惜しみながら、店員さんと話をし、ラーメンを食べ、次の電車に乗る。その一連の流れこそが、「西新井らーめん」だった。このまま終わってしまうには、あまりにも惜しい。だが同時に、確かに時代を全うした一杯でもあった。
西新井駅ホームに灯り続けたラーメンは、静かにその役目を終え、東京の駅文化の記憶へと溶け込んでいく。
取材・文・撮影/井手隊長













