自分が誰かの背中を押したい

インタビュー中、ここまで赤裸々に語る必要はあるのだろうかと何度も思った。しかし、成田は、本書の「はじめに」でこう書き綴っている。

「人生とは『人』が『生きる』と書くけれど、僕の場合は『人』に『生かされる』が正解だ」

成田は立ち止まりそうになるたびに、ギターに、音楽に、ファンに、兄に、母に、そしてメンバーに背中を押された。

成田は、きっと今度は、自分が誰かの背中を押したいと願っている。

どこかで今が人生のどん底だと嘆く誰か。どこかで夢を諦めてしまった誰か。そんな誰かの背中を押すために、全てをさらけ出したのではないだろうか。

「この瞬間まで、人生の選択をすべて間違えてきたようにも思う」と語る成田が、この自叙伝を介して、「大丈夫だよ」と語りかけているように思えてならない。

そして、悪いことばかりに思える人生も、諦めず挑戦を続けることで、「人生は良いことも、悪いことも、同じ数ずつ起こる。とんとんなんだよ」と証明するために。

何度目かのインタビュー後、成田が働いていたとんかつ屋で昼食をご馳走になった。その店のとんかつは本当に美味しかった。そう感想を伝えると、成田は嬉しそうに微笑み、とんかつを揚げるコツを、美味しい豚汁を作るにはタイミングが大切なことを熱心に教えてくれた。

最後に、かつて一度でも成田昭次に声援を送ったことがある人たちが、今もファンであり続ける人たちが、この自叙伝を読み終えた時、成田昭次というアーティストが、愛されるべき人物であり、声援を送るに値する人物だということを再確認していただけたら幸いです。

文/水野光博 写真/井村邦章

人生はとんとん ―成田昭次自叙伝―
成田 昭次
人生はとんとん ―成田昭次自叙伝―
2026/1/15
2,200円(税込)
264ページ
ISBN: 978-4087902099

伝説のロックバンド男闘呼組のボーカル&ギター・成田昭次、初の自叙伝が発売!
50歳を超えて精力的に活動しチャレンジを続ける成田が語る、男闘呼組活動休止、逮捕、芸能界引退、そして奇跡の復活。舞台裏にあった熱き想いと涙。すべての成田昭次ファンに贈る著者渾身の一冊!

引っ込み思案だった幼少期、兄の背中を見て飛び込んだ芸能界、男闘呼組デビューの裏側、突然の活動休止、2009年大麻所持で逮捕。愛する兄の自死。
地元・名古屋の工場で働きながら、ようやく築いた平穏な毎日。そして、2019年男闘呼組メンバーとの運命の再会。
安定した生活を捨て、2022年男闘呼組再始動…。知られざる半生のすべてを赤裸々に語る。
男闘呼組メンバーである岡本健一、高橋和也、前田耕陽のコメントも収録。

Myojo10000字インタビューのスタッフが集結。本書の口絵には、『明星(Myojo)』でデビュー前から成田昭次を撮り続けてきたカメラマン井村邦章による撮り下ろしカットを掲載。

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