とんかつを揚げ続け、ギターを練習
その後、前述したように編集者から連絡先を聞いた岡本健一、高橋和也、前田耕陽、男闘呼組のメンバーが成田と連絡を取り合うようになる。本書は、成田のみならず、岡本、高橋、前田にも長時間のインタビューを行っている。
同じ出来事でも、視点が違えば見える景色は違う。
メンバー4人、誰もが男闘呼組の復活を願った。しかし、最初から一枚岩だったわけではない。特に高橋、前田のふたりは当初、成田の音楽活動再開に懐疑的だった。それは、成田の才能を疑ったからではなく、成田への愛情からだった。
当時の様子を高橋はこう振り返っている。
「今、昭次がどんな生活をしているのかも、その生活を手に入れるために、どんなことをやってきたかも聞いた。余計に、うん、何もかも投げ打ってっていうのは無茶だよなって」
成田自身にも迷いがなかったわけではない。それでも成田は、「男闘呼組を再始動させてケジメをつけたい」と50代にして音楽活動再開を決断し上京する。
もちろん10年のブランクがある成田が、すぐに音楽だけで生活できるはずはない。
成田はとんかつ屋の厨房に立ち、男闘呼組の再始動直前まで、とんかつを揚げ続け、忙しい業務の合間を縫っては、寸暇を惜しんでギターの練習に励んだ。













