「もう一度、真っ当な人生を歩めるのだろうか?」
自叙伝の書籍化にあたり、成田がその思いを託したのが集英社の編集者だった。その編集者は『明星』で男闘呼組を担当していた過去を持つ。
成田は事件後、地元・名古屋で生活し、男闘呼組のメンバーでさえ連絡先を知らなかった期間が10年近くある。
問わず語りをさせてもらうと、筆者はその編集者に『Myojo』の10000字インタビューという企画のインタビュアーを打診され、2011年からすべての回を担当させてもらっている。
これまで多くのアイドル、多くのグループをインタビューしてきたが、成田と男闘呼組が描いた軌跡は、「時代が違う」の一言では済まされないほど異端だった。
アイドルでありながら、男闘呼組は本物のロックバンドを目指したこと、成田が人気絶頂のタイミングで結婚したこと、メンバー4人中3人がタトゥーを入れていたこと、何よりチケットは既に完売した全国ツアーの直前に活動休止を発表したこと。
男闘呼組が活動休止後、成田はソロで音楽活動を始めている。しかし、活動は軌道に乗らず、離婚も経験。次第に生活は荒み、ついには事件を起こす。
成田は「もう一度、真っ当な人生を歩めるのだろうか?」と不安を抱きながらも、地元名古屋でハローワークに足繁く通い、大工、材木屋、工場などで働く。もちろん、その知名度から後ろ指をさされることもあった。
それでも成田はできる限り、誠実に日々を過ごした。芸能界に身を置いていた日々と比べれば、魅力的なイベントや、驚くような事件が起こるわけではない。ともすれば、“平凡”という一言で片付けられそうな日々を、くさすことも、嘆くこともせず、淡々と丁寧に成田は過ごした。













