「毎日『どうやって死のうか』と考えてましたね」

絶望の中、かすかな希望として提案されたのは治験薬。ただし、効くとも効かないともわからない。でも生き続けるためには、その賭けに乗るよりほかなかった。

2025年4月から治験薬の抗がん剤を飲み始めると、ほどなく左頬にポツンと黒い米粒のようなものが現れた。

「『あれ?』と思っているうちに、それが穴となり、だんだん広がっていって。僕の22年の人生のうち、15年は闘病してるんですね。思い出すほどに生き地獄でしたが、この『顔に穴が空く過程』が本当に尋常じゃなかったですね。医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)を飲まないと無理でした。

何のやる気も起きない、という本当に初めての感覚に襲われました。言葉は悪いですけど、毎日『どうやって死のうか』と考えてましたね、そのときは」

SNSでライブ配信や動画投稿をしているもりひさん(写真/本人提供)
SNSでライブ配信や動画投稿をしているもりひさん(写真/本人提供)

切り傷でも擦り傷でも、肉がわずかでも露出すれば痛くてたまらない……そんな経験は誰しもあるだろう。その痛みが日に日にひどくなっていく。しかも、場所は人間のアイデンティティでもある顔。若者が心に負う傷の深さは想像を絶する。

そんな地獄のような日々の中で、もりひさんはYouTubeとTikTokのアカウントで2025年6月から配信や投稿を始める。

「どうしても、やっぱりこのまま終わるわけにはいかない。こんなどん底に突き落とされて、苛立ち、悲しみ……いろんな感情が出てくるわけなんですよ。自分の中にいるがんを見返してやろうと。

そして、どうしても家族を明るくさせてあげたかった。今まで支えてくれた結果が自死で終わったら、僕の周りの人たちは悔やんでも悔やみきれないはずだから。『もうこれ、1回成功させな』『このままで終わってられへん』と思って。ここであきらめてしまったら、今まで何年も頑張ってきた自分に失礼になる。

穴が空いた当初は鏡を見るのも辛かったんですが、どんな姿でも自分は自分。否定してあげたくない。どん底なりに考えた結果、やっぱり自分の弱点を武器にしてさらけ出すしかないと思ったんです」