オノ・ヨーコさんの気持ちがわかる気がするんです
──事件後、オノ・ヨーコさんにも直接取材をされています。印象を伺えますか。
ジョン・レノンがなぜあのように亡くなったのか。いちばん考え続けてきたのはヨーコさんのはずです。「ビートルズを解散させた」など、ファンにいろいろ言われてきた方ですが、ジョン・レノンにとってかけがえのない人であり、強い人であり、そして孤独な人だと思います。
私には彼女の気持ちが少しわかる気がするんですよ。ジョン・レノンとは比べようもないですが、ニューヨークではピート、ピートって、夫にはいろんな人がいろいろ頼みに来て彼は断りきれない。
ありがたいことですが、その対応に翻弄されたのです。だから、ヨーコさんがどれほどたいへんだったか、考えさせられました。
──いったん諦めた取材を再開するきっかけをつくったのは、その夫のピート・ハミルさんでした。また、ピートさんの弟の写真が、チャップマンの事件に関わっていたことも明らかになります。青木さんを含めたさまざまな人の数奇な運命とともに、ジョン・レノンという大きな存在にあらためて思いを馳せました。
あるときピートの手紙を整理していたら、ジョン・レノンからピートに宛てた手紙を見つけたんです。そのとき、もう一度やってみようという思いが芽生えました。つくづく、やりたいことは、諦めたらダメですね。
執念深いといわれますけど(笑)、角度を変えたり、視点を変えたりすれば、絶対に解決方法があると思っています。
この本で私が書いたのは、ジョン・レノンはなぜ殺されたかと問いかけるパーソナル・ジャーニーなのです。ジョン・レノンは「自分の頭で考えろ」と言っていました。この本を読んで「なぜ」という答えを、それぞれが考えてくださると嬉しいです。
取材・文/砂田明子













