「じゃあ、もし1位になったら僕のライヴに出演してよ」
「誰もがそれを信じられなかったくらい、本当に感動的な夜だった」
1974年11月28日にマジソン・スクエア・ガーデンで開催された自身のコンサートについて、エルトン・ジョンはそう振り返った。
ジョン・レノンがアンコールに参加してくれて、一緒に3曲も演奏してくれたのだから無理もない。
その発端となったのは、ジョン・レノンとの間でちょっとした軽いやり取りがあったからだ。
アルバム『心の壁、愛の橋(Walls and Bridges)』を制作していたジョンがいるスタジオを、エルトンが訪ねたのは1973年9月のことだった。
エルトンはその時、レコーディング中だった「真夜中を突っ走れ(Whatever Gets You Thru the Night)」を聴いて、ピアノを加えたらどうかと提案した。
ジョンがそのアイデアを喜んで受け入れてくれたので、エルトンはピアノとオルガンを弾いただけでなく、ヴォーカルもデュエットすることになった。
出来上がりを聴いたエルトンは、その場で「シングルにしたら絶対1位になるよ」と進言した。
だが、ジョンはまるで取り合わずにこう言った。
「100万年かかっても、この曲が1位になることはありえないね」
そこでエルトンは、ジョンに一つの提案をした。
「じゃあ、もし1位になったら僕のライヴに出演してよ」
ソロになって以来、ライヴを避けてきたジョンは、この時はあっさり「OK」と返答した。その場のノリで軽く言っただけなのかもしれない。














