「買ってはいけない」危険な不動産の見分け方
私のトルコでの失敗経験をお話しすると、「やはり海外不動産はリスクが高い」と思われるかもしれません。
確かに、国境を越える投資には特有のリスクが伴います。しかし、それは海外に限った話ではなく、日本国内の不動産投資においても、不適切な物件を選んだり、信頼できない業者と取引したりすれば、資産を失うリスクは常に存在します。
重要なのは「海外だから危険」と一括りにするのではなく、リスクの種類と所在を正しく理解し、それを見極め、管理することです。
注意が必要なのは、高い成長性が喧伝される一方で、投資家保護の仕組みや市場の透明性が十分に確立されていない新興国の一部です。
海外不動産の売り込みでは、こうした国の案件が魅力的な利回りや価格とともに紹介されるケースが多いのが実情です。感覚的には、8割から9割がこういった案件なのではないでしょうか。
では、海外不動産投資の世界で、具体的にどのような物件や取引を避けるべきなのか?
私自身の経験や、多くの事例から見えてくる「買ってはいけない危険な物件」の典型的なパターンをいくつかご紹介します。これらを事前に知っておくだけでも、無用なリスクを回避する上で役立つはずです。
「掘り出し物」に手を出してはいけない
「掘り出し物だ!」と思えるほど極端に安い物件には、注意が必要です。
逆に、周辺相場と比較して明らかに高い物件も要注意です。一部の悪質な業者が、外国人をターゲットに、価格を不当に上乗せしているケースもあります。
「将来必ず値上がりする」といった甘い言葉でセールスしてくる業者には、絶対に近づいてはいけません。下手に掘り出し物を探すのではなく、適切な価格設定のものを探すべきです。
特に未完成物件の場合、そのプロジェクトを担当するデベロッパーの信頼性、実績などをしっかり確認する必要があります。
結論を言えば、建築実績のある大手デベロッパーを選んだ方が無難です。また、販売を仲介する不動産エージェントについても、現地の正規のライセンスを保有しているか、十分な実績を持っているか、そして何よりも、誠実な業者かを見極めることが不可欠です。
「保障利回り○%」は疑え
不動産の所有権、土地の権利、あるいは抵当権や借地権といった、物件に関わる法的な権利関係が複雑だったり、不明確だったりする物件には、注意が必要です。将来的に大きなトラブルに発展するリスクがあります。
特に新興国では、外国人による土地所有が制限されている場合も多く、借名契約のようなスキームを勧めてくる業者もいますが、何かしらのトラブル(乗っ取りなど)が起きる可能性もゼロではありません。
その物件の周辺環境(治安、騒音、インフラなど)や、将来的にそのエリアがどのように変わっていくのかも、不動産の資産価値に大きな影響を与えます。地図やインターネット上の情報だけでなく、現地を訪れ、ご自身の目で環境を確認することが重要です。
「保証利回り○%!」といった謳い文句で、異常に高い利回りを提示してくる物件には、とりわけ注意が必要です。その高い利回りが、どのような根拠に基づいて算出されているのかを確認しましょう。多くの場合、こうした「うますぎる話」の裏には、隠れたリスクや突然の利回り保証の支払い停止など、トラブルも少なくありません。
文/宮脇さき













