ランクインメンバーはアベンジャーズ

――そのトレーニング期間に努力を怠らなかった熊崎アナは現在、オリンピックや世界陸上という大舞台での実況も担当しています。思い出深い仕事はありますか?

2022年にあった冬の北京オリンピックでしょうか。新競技のフリースタイルスキーのビッグエアを担当することになったのですが、諸事情により直前で上司から「(解説者なしで)ひとりでやってくれ」と。

――新競技なのに地獄のようなシチュエーションですね……。

でももうやるしかないので、もともとかなり勉強をしていましたが、そうと決まった瞬間から人間ってここまで仕事に入り込めるのかってくらい集中して準備しました。振り返っていろいろ反省点はありますが、あのときの自分の中ではベストの仕事ができたのではないかと思ってます。

オリンピックはNHKと民放各社が共同制作するため、派遣されたアナウンサーが自局で実況するとは限らない。熊崎アナが担当するビッグエアはNHK BSでの放送で「自分がミスをしたらNHKさんにも迷惑がかかる」というプレッシャーもあったという
オリンピックはNHKと民放各社が共同制作するため、派遣されたアナウンサーが自局で実況するとは限らない。熊崎アナが担当するビッグエアはNHK BSでの放送で「自分がミスをしたらNHKさんにも迷惑がかかる」というプレッシャーもあったという
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――先ほどお名前が出ましたが、ハセンさんは退社されて現在は映像プロデューサーなど様々な分野で活躍されてます。熊崎アナはフリー願望はあるんですか?

僕はありません。というのも、オリンピックや世界陸上の実況はフリーが指名されることはなく、局アナじゃないとできないんです。TBSの力で大舞台の実況ができているわけですから、今の環境を手放すのはもったいないじゃないですか。

――「ラヴィット!」に出演する機会は増えてはいるけど、あくまで軸足はスポーツ実況と。

何年やっても実況でスポーツ中継をつくりあげる楽しみは変わりませんからね。とはいっても、知名度はあったほうがスポーツ選手の取材をするうえで絶対プラスです。

プロ野球選手は「ラヴィット!」を見てから球場入りする選手がけっこういますし、陸上の長距離ランナーも朝5時の朝練が終わった後に見てくださる方が多いんです。「『ラヴィット!』、見てますよ」と選手や監督から言われることもありますし、それをきっかけにチーム事情の話を聞いたりと懐に食い込めることもあります。

なので、今後も表に出る仕事は大事にしたいですね。

――ではやっぱり「好きな男性アナウンサーランキング」に入るに越したことはないですね! 今年は赤荻アナ以上の順位を狙う?

そういう記事にしやすいコメントが言えればいいんでしょうけど、マジで無理です。だって去年のメンツ見てください。アナウンサー界のアベンジャーズですよ(笑)。僕は地道に細々とやっていきます!

取材・文/武松佑季
撮影/下城英悟