「自分たちの子供はまた軍政下で生きるのか…」クーデター直後の絶望と強い意志
――クーデターが発生してから数カ月の間に、西方さんご自身の身に危険が及んだことや、街の変化などで最も印象に残っていることは何でしょうか。
クーデターが起こった直後、それまで友人たちから聞いていた軍政時代の話が現実のものとなりました。2011年に民主化してからは、「軍政時代はこんなにひどかった」という話を、過去の悪い思い出として、笑い話のように聞くことの方が多かったんです。それなのに、クーデターによって一夜にして暗黒時代に戻ってしまった。仕事仲間や友達はものすごく怒り、悲しんでいました。
そして、「これから自分たちはどうなってしまうのか」「自分たちの子供はまたあの不自由な軍政下を生きることになるのか」という絶望感と同時に「絶対にそうはさせない」という非常に強い意志を口にしていました。まずそのことに心を打たれました。
――ミャンマーの人々にとって「軍政」は、まだ記憶に新しいものだったのですね。
そうですね。ただ、笑い話にはできても、当然その時の恐怖や憤りは内包されていたのだと思います。民政移管後に教育を受けたような若い世代であっても、親からずっと軍政時代の話を聞いて育っているわけです。語り継がれてきたものが現実になった。これから良くなる一方だと信じていた人たちにとって、非常に衝撃的なことだったと思います。
――その後、大規模なデモが始まりました。
はい。こんなに人がいたのかと思うほどの大群衆のデモが始まりました。しかも、ヤンゴンだけでなく、すごく小さな村や町でも、みんなが「絶対に軍政には戻さない」という思いでデモを続けていたんです。その光景には、ものすごく心を揺さぶられるものがありました。














